2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K01300
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
岸野 薫 香川大学, 法学部, 准教授 (70432408)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 19世紀後期アメリカ |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度である今年度は、国内で入手可能な文献を中心にその読解を進めるとともに、次年度の海外調査に備えて、先行研究の整理を通じた課題の絞り込みを行った。 中心的に取り組んだのは、第一次文献の読解である。本研究課題の研究実施計画でも述べたように、本研究課題「19世紀後期アメリカの立憲主義モデルに関する考察」においては、19世紀の憲法理論家たちの著作の読解が必須となる。まずはChristopher Tiedman (1857-1903) に焦点を当てることとし、彼の著書 The Unwritten Constitution of the United States (1890) の読解を行った。裁判官が制憲者意図に基づき判断を下すことについて、また「死者の手」の問題について主に扱ったもので、この読解を通じて、米国における当時の「Unwritten Constitution」観の理解を深めることが、本研究課題の核の1つになるものとの確信を得た。また、Tiedmanの憲法理論をより多角的に知るため、彼がその後、執筆したA Treatise on State and Federal Control of Persons and Property in the United States, Considered from Both a Civil and Criminal Standpoint (1900) の読解にも並行して取り組んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度であるため、本年度の研究活動の中心は「先行研究の整理を通じた課題の絞り込み」と「文献の収集」、そして「一次文献の読解」であった。「一次文献の読解」に当初予定より時間がかかっているが、研究活動全体としては概ね予定どおり進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
上の「現在までの進捗状況」に記載の「先行研究の整理を通じた課題の絞り込み」を元に、2年度目(令和2年度)は海外調査を行う予定であった。予算計画(旅費)もそのように組まれている。しかし、令和2年度中に海外調査を行いうるかどうか、コロナの蔓延を受けた昨今の国際情勢のもとでは不透明となっている。 情勢を見極めた上で、海外調査を実施できなかった場合は、国内のデータベース等で入手可能な資料に範囲を狭め、いったん研究ノートという形で公表しようと考えている。
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Causes of Carryover |
本年度に計画していた資料収集のための国内出張について、特に後期、学内行政との関係で断念したものがあり、残額が生じた。 国内移動が問題なく実施できる環境になったら、遅滞なく実施する予定である。
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