2019 Fiscal Year Research-status Report
Dynamism of International Treaty: How will the Chemical Weapons Convention develop in the post-destruction era?
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19K01317
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
阿部 達也 青山学院大学, 国際政治経済学部, 教授 (80511972)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 国際法 / 条約の動態分析 / 国際機構 / 化学兵器禁止機関 / 軍縮・不拡散 |
Outline of Annual Research Achievements |
化学兵器禁止機関に関連する各種会議・会合・セミナーに出席し、関連する資料を収集するとともに、化学兵器禁止条約締約国、技術事務局、NGOなどさまざまな分野の関係者との間で意見交換を行った。 2018年11月に開催された化学兵器禁止条約(CWC)第4回運用検討会議は締約国間の対立によって最終文書を採択することができず、議長報告書の作成にとどまった。このため、今後の化学兵器禁止条約の方向性は若干不透明になったと考えられる。2019年に開催された執行理事会および締約国会議での議論は手続事項が中心で実質事項には及んでいない。締約国間の対立は新設された化学兵器使用者特定の調査制度にも及んでいる。制度は準備段階から実施段階に移ったものの、関係国の協力が得られないため現地調査は実現していない。締約国間の協調を欠く中で国際機構がどのようにしてこれを克服してゆくかさらに考察を深めてゆく必要がある。 シリアの化学兵器問題については新たな展開が見られた。化学兵器禁止機関職員による秘密保護制度の違反事案が明らかになったのである。当該違反事案の調査は化学兵器禁止条約に規定された既存の制度に依拠せずアドホックな手続によって実施された。条約上の制度に依拠しないアプローチは化学兵器使用の疑いに関する事実調査団の設置に続くものである。このようなアプローチは一方で現実的なものとして捉えられるものの、他方で条約の権威それ自体を低下させるインプリケーションもあり、その評価を慎重に考察する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
資料収集および関係者との意見交換のために予定していた国外出張が新型コロナウイルス感染拡大の影響により中止になったため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き資料収集および関係者との間の意見交換を行うために、状況が許す限り、国外出張を実現する。国外出張が困難な場合は国内在住の関係者を通じて資料を入手し、分析を行う。 他方で、新型コロナウイルス感染症が化学兵器禁止条約(とくに、現地査察制度)に与える影響を本研究課題の追加的な論点に加えることとし、化学兵器禁止機関における動向を注視していきたい。
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Causes of Carryover |
資料収集および関係者との意見交換のために予定していた国外出張が新型コロナウイルス感染拡大の影響により中止になったため。 状況が許す限り、国外出張を実現したいと考えている。これが困難な場合は次々年度に繰り越すことを検討する。
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