2022 Fiscal Year Research-status Report
Dynamism of International Treaty: How will the Chemical Weapons Convention develop in the post-destruction era?
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19K01317
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
阿部 達也 青山学院大学, 国際政治経済学部, 教授 (80511972)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 国際法 / 軍縮・軍備管理 / 国際機構 / 化学兵器禁止機関 / シリア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で取り組むことを予定していた課題のうち、「シリアの化学兵器問題」について、英文書籍"Syrian Chemical Weapons and International Law(シリアの化学兵器と国際法)"として原稿を脱稿した。 本論は、実体的義務の遵守の確保とその不遵守への対応という2つの観点に加えて、さらに「潜在的な不遵守の検討」を両者の間に位置づけられる3つ目の観点として導入することとし、化学兵器の廃棄義務と不使用義務の遵守・不遵守の問題に焦点を当てて検討した。 化学兵器の不使用義務に関しては、不作為という義務の性質上、遵守を確保する必要は乏しく、潜在的な不遵守または実際の不遵守の状況に事後的に対処してゆくことが中心となること、国際機構の措置が取られているものの必ずしも十分に機能しているとはいえないこと、一部諸国が一方的な措置を追求する場合のあることなどを議論した。 化学兵器の廃棄については、作為が求められるという義務の性質上、遵守の確保が重要であり、そのための制度を事前に構築した上で運用してゆく必要のあること、潜在的な不遵守の状況では客観的な事実に基づいて遵守を促す措置が実施されていること、これにもかかわらず不遵守の状況に陥った場合は実体的義務の内容に応じた対応が取られていることなどを考察した。 結論では、本論における詳細な検討を踏まえて、化学兵器の廃棄義務と不使用義務の遵守・不遵守の問題への対応に共通する要素と異なる要素を明らかにした。 執筆の過程で、国際法を専門とする研究者によって構成される研究会において詳細な報告を行い、出席者からのコメント・フィードバックを反映させる形で原稿の執筆をさらに進めることができた。これに並行して、本論のその他の部分についても、これまでに収集した文献および資料に基づいて分析を行い、適宜執筆を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
英文書籍"Syrian Chemical Weapons and International Law(シリアの化学兵器と国際法)"の原稿を脱稿できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
英文書籍"Syrian Chemical Weapons and International Law(シリアの化学兵器と国際法)"の刊行に向けた作業を行う。刊行後に国際法・軍縮の専門家との間で意見交換を行い、研究をさらに深める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症拡大のため国内外の出張を実施できなかったため次年度使用額が生じた。 2023年度は国内外の出張の実施と英文書籍の献本により執行を進める計画である。
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