2020 Fiscal Year Research-status Report
A study on the legal issues to secure diversity in the globalized refugee protection strategy
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19K01318
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
北村 泰三 中央大学, 法務研究科, 教授 (30153133)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中坂 恵美子 中央大学, 文学部, 教授 (20284127)
建石 真公子 法政大学, 法学部, 教授 (20308795)
安藤 由香里 大阪大学, 国際公共政策研究科, 招へい准教授 (20608533)
西海 眞樹 中央大学, 法学部, 教授 (50180576)
谷口 洋幸 金沢大学, GS教育系, 准教授 (90468843)
佐々木 亮 聖心女子大学, 現代教養学部, 講師 (10828594)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 国際人権法 / 難民 / 人権 / 入管法 / ノンルフールマン原則 / ヨーロッパ人権条約 / 難民に関するグローバルコンパクト / 多様性 |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナ・ウィルスの蔓延状況によって、研究の進捗状況は大きく影響を受けた。まず、予定していた難民法に関するワークショップの開催を見合わせることになった。また、研究統括を行う北村が2020年10月より2021年3月までの6カ月の間、フランスにおける在外研究のため留守をしていたことも影響した。 他方で、研究の実績についは、2020年10月の「法律時報」に入管法の改正問題に関する問題点をテーマとして座談会形式で論ずる機会を得ることができた。これには研究メンバーの北村と安藤が参加している。 北村は、2020年10月、「難民認定における良心的兵役拒否をめぐる問題-国際人権法を参照した『迫害』要件の解釈について-」(『現代国際法の潮流Ⅱ、坂元茂樹、薬師寺公夫両教授古希記念論文集・東信堂、2020年11月、106-127頁)を公表した。本稿は、いわゆる「良心的兵役拒否」(conscientious objection)を理由とする難民認定申請が難民該当性を満たすことがあるかどうかという問題を考察する点にある。また北村は、2020年11月に行われた国際人権法学会の2020年度研究大会において、「非正規滞在外国人の『追放』に関する国家主権と国際人権法 -入管法改正の動きを念頭に」をテーマとして基調報告をする機会を得た。本報告の内容は、国連国際法委員会が採択した、追放に関する条文草案を中心として、退去強制と人権に関する研究が中心である。この成果は、同学会の機関誌「国際人権」の次号(2021年秋刊行)に掲載される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
北村は、「難民認定における良心的兵役拒否をめぐる問題」を主題として論文を執筆した。本稿では、兵役は一般的には各国の法律制度で認められている限りは、適法であり、兵役逃れを犯罪とすることも適法と考えられるが、他方で国際的判例法や国連難民高等弁務官事務所のハンドブックなどでは、兵役拒否者が一定の場合には、国際的庇護の対象となりうることがある。そこで、本稿では、良心的兵役拒否を理由とする難民申請がどのような場合には難民条約上の難民の要件に当たるのかという問題を検討したものである。また、国連国際法委員会による外国人の追放に関する条文草案をコメンタリーとともに検討を行っている。そのため、2021年3月28日には、本科研費研究会メンバーらによるリモート方式の研究会を行い、その成果を3回に分けて『比較法雑誌』に掲載することとし、その第1編は2021年5月末には公表されることになっている。この検討には、安藤由香里、佐々木亮をくわえた3名による共同執筆である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の方法としては、追放に関する条文草案に関しては、北村、安藤、それに佐々木の3名により、詳しい検討を行い、中央大学比較法研究所の「比較法雑誌」に研究成果を3回の連載記事により掲載することになっており、その第1号は、2021年5月中に公表される予定である。続編も2021年度の早い段階に公表する予定である。 北村は、フランスのストラスブール大学における在外研究期間(2020年10月~2021年3月)までの間、ヨーロッパ人権裁判所の判例法を中心として、国際人権法が難民の保護にどのような意義を有しているかについて研究を重ねてきた。これらの研究を基礎として、最終的には、国際難民法序説(仮題)というような形で、研究の成果を公表したいと考えている。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は予定していない。
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