2020 Fiscal Year Research-status Report
Legal implication of the UN Guiding Principles on Business and Human Rights
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19K01321
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
吾郷 眞一 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 教授 (50114202)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ビジネスと人権 / 保護、尊重および救済枠組み / CSR / MDGs / グローバルガバナンス / 国際人権保障 / ソフトロー |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナの影響で、学会、研究会に可能な限りリモートで参加(たとえば2020年10月16日にジュネーブ米国代表部で行われた「Roundtable Discussion on BHR Treaty Alternatives」に3人のパネリストのうちの一人として参加し、ビジネスと人権に関する条約化問題について知見を述べるとともに、他のパネリストおよび参加した複数の国の外交官、条約起草担当者と意見交換を)した。 2019年に「法律時報」に発表した論文「ビジネスと人権 - ソフトローの役割」に手を加え『国際法の現在 - 変転する現代世界で法の可能性を問い直す』寺谷広司編(日本評論社・2020.9)第31章、384-395頁として改めて出版した。 また、ビジネスと人権原則を実施に移す方策の一つとして、既存のILO手続きがあることに注目し、S Ago, ‘Complaint Procedure: International Labour Organization (ILO)’ in H Ruiz-Fabri (ed), Max Planck Encyclopedia of International Procedural Law (OUP 2020), <www.mpeipro.comに電子出版した。 さらに、”What is ‘International Administrative Law’? The Adequacy of this Term in Various, Judgments of International Administrative Tribunals”,2021, AIIB Yearbook of International Law, Vol.3, October 2020, pp.88-102 も、国際法規範が国際行政過程で生成される可能性を論じたものとして、ビジネスと人権関連の業績といえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Covid19蔓延の影響で、学会出張、国際会議参加が限定され、情報収集、新たな知見の獲得に支障が生じた。とりわけ、ビジネスと人権国連指導原則の実施プロセスとして、重要な働きをする国連グローバルフォーラムがリモート開催となったため、情報量が格段に減少したことや、実際に現場で参加者と意見交換をすることができなくなったことは、研究の進捗状況に負の影響を与えた。 他方、ネットでの情報取得は以前にもまして高度化し、座学の成果は上がった。積極的に刊行物を購入し、またネットを通して各種情報源にアクセスし、かなりの量の新しい知見を獲得できた。学会がリモート化したことのメリットは、サワーではないと参加しなかったような外国での研究会に参加し、発表も行えたことである。上記2020年度の研究実績にあげた10月16日のジュネーブでの意見交換会がその良い例である。 また、それは研究室に普段より長く滞在することにもつながり、結果的に過去1年の間に複数の刊行物を出版できた。
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Strategy for Future Research Activity |
Covid19の状況に大いに関係するところであるが、国外出張が自由になれば、2020年度に実施出来なかった海外出張を精力的に再開し、海外調査の遅れを取り戻すことが重要である。しかしながら、最終年度に入ってすぐの現在、再び緊急事態宣言が出され、かつ、ワクチン接種が思うように進んでいないことから、状況が早急に改善される見通しはたっていない。一方で、諸外国での状況には多少の改善も見られ、ワクチン接種の効果が年度半ばくらいに表れてくるならば、海外調査の遅れの取り戻しは不可能ではないかもしれない。とりわけ、重要な海外出張である国連グローバルフォーラム(ジュネーブ国連欧州本部)が11月末に開催されるとすれば、そこに参加し、遅れをだいぶ取り戻すことができると思われる。 一方で、その見通しが楽観的であるとすれば、それ以外の情報収集手段を講じなくてはならないが、授業でも慣れ始めているリモートのウェビナーとか、Zoomによるインタビュー手法を使って、出張による情報収集を代替していくことを考えなくてはならない。しかし、ディジタルの世界は、アナログでの人と人との直接対話による知見獲得には劣るので、全体としての研究進捗には依然として黄色信号がともったままといえる。
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Causes of Carryover |
新型コロナ蔓延のため国内外出張取りやめになったことによる旅費・滞在費の不支出による次年度への繰り越し。 繰り越した分は、前年度に履行できなかった出張(とりわけ、国連グローバルフォーラム参加のための出張)のために充て、2021年度分の予算は、その他の出張、備品購入、謝金などに充てる。
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