2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K01325
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Research Institution | Tomakomai National College of Technology |
Principal Investigator |
佐々木 彩 苫小牧工業高等専門学校, 創造工学科, 准教授 (90459834)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | インドネシア / 中国 / 国際私法 / 国際家族法 / 公序 / 法秩序 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「文化的・宗教的背景が異なるアジア圏の国際家族法の分野において、共通した法秩序は存在し得るのか」を究明課題として掲げ、普遍的公序概念の構築可能性についての検討を行うものである。上記のことを探究するために、令和元年度はインドネシアに渡航し、最高裁判所(ジャカルタ)、高等裁判所(ジャヤプラ)、地方裁判所(メラウケ)、そして、インドネシアの弁護士会の一つであるKAI(ジャカルタ)を訪問し、インドネシア家族法等に関する情報収集を行い、インドネシア家族法における法秩序について考察を深めた。令和2年度は、研究実施計画上では、中国の実地調査および文献・資料収集を進める予定であったが、コロナウィルスの影響により、渡航を断念せざるを得なかった。しかしながら、中国国際私法に精通している研究協力者の協力を得、中国国際私法および家族法関連の資料収集等を行うことができ、中国家族法に見られる法秩序について考察を行った。研究最終年度である令和3年度は、国内外の文献・資料研究を中心に行った。具体的には、アジア経済研究所図書館等を利用するとともに、研究協力者の協力の下、文献収集を行い、新中国家族法および我が国内法における法秩序について比較法的見地から考察を行った。上記に掲げた研究の成果は、いずれも論文の形で公表することができた。なお、本研究を深化させる場として2019年度より立ち上げた「国際家族法研究会」(東洋大学現代社会総合研究所)は、研究期間中、継続して行い、その活動報告については、『現代社会研究』第17号~19号に掲載されている。本研究において研究対象としたアジア諸国においては、一定の法秩序(公序概念)が存在することが見て取れ、それは、わが国の国際私法規定の法源である「法の適用に関する通則法」を適用する場面においても、公序則を発動する際の一定の判断基準になり得ると考える。
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