2019 Fiscal Year Research-status Report
Analytical Framework of Competition Law from the Perspectives of Global and Local Monopolies
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19K01327
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
白石 忠志 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (30196604)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 競争法 / 独禁法 / 独占禁止法 / 独占 |
Outline of Annual Research Achievements |
5つの小課題ごとに、次のように進行している。 「① 巨大独占や局地独占に関する競争法理論」については、デジタルプラットフォームと競争法との関係に関する国際的・国内的な研究を、具体的な事例も含めて着実に深めるとともに、企業結合事例において、公正取引委員会が局地独占について因果関係論を用いて無条件のクリアランスをした長崎の地銀事例や、業績不振の競争者を子会社として吸収したUSEN/キャンシステム事例を研究した成果をまとめ3年間の研究の足がかりを作ることができた。 「② 消費者に対する搾取型濫用(優越的地位濫用)」については、研究開始当初に持ち合わせた持論のとおりに公正取引委員会のガイドライン案が示され、これが極めて注目される議論を煥発したので、開始当初以前からの研究の蓄積を活かしつつ、公正取引委員会が誘発した議論のどこが新しくどこが従来の枠組みで説明できるものであるのかについて、検討を深めることができた。 「③ 競争法における推定ルールの洗練」については、公正取引委員会による楽天(楽天トラベルの件)に対する確約認定や楽天(楽天市場送料込みの件)に関する緊急停止命令申立ての対象となった諸事例のパターンを用いて、公正取引委員会の判断権者や裁判官にとって扱いやすい推定ルールという観点から観察し、分析に取り掛かっている。 「④ エンフォースメントの在り方」については、やはり、楽天(楽天トラベルの件)に対する確約認定、日本メジフィジックスに対する確約認定、楽天(楽天市場送料込みの件)に関する緊急停止命令申立てなどを素材として、課徴金を課さずに一定の成果を得ようとする公正取引委員会の行動を研究対象とする分析を開始している。 「⑤ EU競争法の影響力の背景」については、外国人専門家の助言のもと、EU競争法・米国反トラスト法を中心に外国競争法への理解を深めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
5点のいずれについても、現実の法現象が予想通りの速度で進行しており、着実に準備を蓄積できている。一つの研究成果をまとめる準備は整っているものの、新型コロナウイルス問題により発表の場が先送りとなったため、旅費および英文校正費を次年度に用いて論文を完成させることとしている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の申請書に2020年度として書いた方向で進め、①の企業結合規制の事例については研究をまとめる。
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Causes of Carryover |
一つの研究成果をまとめる準備が着実に整っているものの、新型コロナウイルスの問題の影響で成果を発表する機会が中止となったため、英文校正費用と旅費を次年度に使用することとしている。
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Research Products
(1 results)