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2019 Fiscal Year Research-status Report

国家の競争中立性の観点からの公共調達に関する研究

Research Project

Project/Area Number 19K01328
Research InstitutionYokohama National University

Principal Investigator

青柳 由香  横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 准教授 (60548155)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2023-03-31
KeywordsEU / 公共調達 / 入札 / 国家の競争中立性
Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は、公共調達において一般競争入札をすることにより競争導入が図られれば足りる、と半ば等閑視されてもいる実務・学問の現状において、国家の競争中立性という新たな観点から公共調達制度を再検討し、あらためて公共調達が有する競争政策上の意義を明らかにし、立法政策上の新たな知見を得ることにある。(なお、国家の競争中立性の問題とは、国家等は公共調達で事業者等から物品・サービス等を入手するが、これにより市場競争が歪曲されることなどをいう。)
この問題の研究は日本では萌芽期にありほとんど先行研究ないので、EUにおける加盟国の公共調達に対する競争政策的観点からの厳格な規律と活発な議論を比較法的検討の素材として、以下の課題を明らかにする。
(1)公共調達が国内の市場競争を歪曲するメカニズムはいかなるものか。(2)EU において、どのような公共調達が競争政策上適切であると考えられているか。(3)EU の法制度からの示唆を受け、日本の規律にどのような修正がなされるべきか。
以上の課題のうち、今年度は(1)の市場競争を歪曲するメカニズムについて、どのように説明されているかを理解するための調査を行った。これについては、特に、現行の2014年公共調達指令等を軸に文献調査を実施した。あわせて、ロンドン(イギリス)への海外出張を通じて、現地の競争法の専門家と面会し、意見交換を実施しつつ、国家の競争中立性の問題についての現地での最新の議論の状況について知見を得ることができた。また、その機会に、日本では入手が困難な文献を収集することができた。
以上の通り、本年度における本研究課題についての研究の取り組みはおおむね順調に進んでいるといえる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究では、(1)公共調達が国内の市場競争を歪曲するメカニズムはいかなるものか、(2)あるべき公共調達規制はいかなるものか、(3)日本国内の規制にどのような修正が必要か、の3点を明らかにすることを意図している。これらのうち、今年度および来年度においては、(1)市場競争を歪曲するメカニズムを、EUにおける法制度、判例、政策文書、学説等を素材として、どのように考えられてきたかを検討することを予定していた。このような計画をしていたところ、2014年EU公共調達指令等の法制度やこれに関する諸文献を検討し、来年度における引き続きの検討への素地を作ることができた。
また、今年度はロンドン(イギリス)への海外出張を行うことができた。この機会に、競争法の専門家と本研究課題について意見交換を実施しつつ、EUにおける国家の競争中立性についての議論の最新状況について知見を得ることが出きた。また日本で入手困難な文献を収集することができた。これらの知見や資料は、来年度以降の研究の実施において活用していきたい。

Strategy for Future Research Activity

来年度は引き続き、公共調達が市場競争を歪曲するメカニズムとして、どのような説明がなされているか、すなわち、そのセオリー・オブ・ハームを明らかにすることに注力したい。あわせて主要な判例等について詳細な検討をすることを通じて、エンフォースメントのあり方を検討することを予定している。
再来年度以降において、上記のセオリー・オブ・ハームについての検討と並行しつつ、一般論としての公共調達に対するあるべき規制のあり方、および日本の公共調達に関する規制の検討および立法論に取り組んでいきたいと考えている。
なお、今年度末来みられるコロナウィルスの蔓延により経済状況が悪化していることが、EUにおいては加盟国の補助金支出や調達のあり方に対する規制に影響を及ぼしていると仄聞している。これらは正当化の議論に連なるものであり、本研究課題の当初の射程からは若干外れるが、セオリー・オブ・ハームの修正として触れることができれば触れたいと考えている。
以上

Causes of Carryover

年度末に国内・海外出張等を予定していたが、コロナウィルスの蔓延のため実施できなかった。次年度以降、環境が整った時期以降に出張を実施したい。

URL: 

Published: 2021-01-27  

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