2020 Fiscal Year Research-status Report
Interplay and Integration of Health Care Law and Public Health Policy
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19K01330
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
石田 道彦 金沢大学, 法学系, 教授 (10295016)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 公衆衛生 / 医療保障 / 医療保険 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、本研究課題が設定した分析視角にもとづき、公衆衛生施策と医療保障制度の展開について検討を進めた。とりわけ、医療保険制度の指定、保険者と保険医療機関との契約、診療報酬のあり方について公衆衛生施策との関連を意識しつつ、分析を行った。また、本研究課題の分析軸のひとつである「医療を受ける者の利益」について精緻化を図るため、イギリスの病院合併事例の検討を進めた。2009年から2013年までの審査事例、2014年から2019年にかけての審査事例を分析した結果、病院施設の統合において考慮される「患者の利益」をいくつかの類型に分けて把握することが可能であることを明らかにした。 なお、2020年3月からの世界的なコロナ禍の影響、これに対する医療法制、公衆衛生法制の動向は、本研究課題について新たな視点から検討する必要性を要請するものとなった。当初の研究計画では、主として生活習慣病予防を念頭において各種の施策の分析枠組みを構想していたが、これについて見直しを行い、近時の変化を視野にいれて研究課題の遂行を図ることとした。 以上の点をふまえ、地域医療構想、地域医療連携推進法人制度、医師確保計画などの近年のわが国の医療施策の動向につき、「医療を受ける者の利益」の視点から検討を行い、論文1本を公表した。また、イギリス医療保障制度に関する共同調査研究の一部を担当し、NHS長期プランに基づく改革動向とこれに基づく法改正案の概要について報告書を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
公衆衛生法制の分析において、伝統的な感染症対策を新たな視点から検討する必要性が高まることとなった。そこで、研究課題の分析枠組みについて一部見直しを行い、研究を進めることとした。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍による感染症対策という新たな局面をふまえつつ、医療保障と公衆衛生施策の融合現象について研究のとりまとめを進める。その際には、英米におけるPublic Health概念の検討、医療保険における保険者と保険医療機関との契約関係が包摂できるものと包摂を予定していないもの、地域医療における医療提供者の集合的責任などの問題を中心に検討を進める予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ感染症拡大の影響により、予定していた調査や研究報告を実施することができず、その一部についてオンラインでの報告等に切り替えるなどの対応を行った。このため、2020年度は旅費の支出が生じず、次年度使用額が生じることとなった。最終年度は、可能な範囲で前年度に実施できなかった調査等をおこない、旅費を使用する。
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