2020 Fiscal Year Research-status Report
Comparative study of Japan-Korea antitrust law -Application and limitations of abuse of superior bargaining position in franchise contracts
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19K01331
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
洪 淳康 金沢大学, 法学系, 教授 (10554462)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 公正取引委員会 / 実態報告書 / 値引き販売 / 仕入れ数量の制限 / 年中無休・24時間営業 / ドミナント出店 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本におけるコンビニエンスストア本部と加盟店間に取引については、これまで審判・裁判になったものとして、デイリー商品の値引き販売とロイヤルティに関するものが多かったため、主にこれに関する各種資料(判決・審決文、新聞記事、月刊コンビニなどの専門雑誌記事)の調査・収集を行った。さらに、2020年9月に発表された公正取引委員会の「コンビニエンスストア本部と加盟店との取引等に関する実態調査報告書」によると、そのほかにも仕入先の制限、仕入数量の制限、年中無休・24時間営業、採算の取れない新規事業の導入、ドミナント出店の問題が挙げられていたことから、これらの事案についても各種資料を調査・収集した。これに対し、コンビニ主要8チェーンは、点検と改善点についての報告書を2020年12月まで同委員会に提出した。しかし、同報告書やマスコミなどを通じて打ち出した方針、そしてこれに対する加盟店側の反応を見る限り、どの事業者もこれまでよりは、加盟店の意見をより多く取り入れるなどの努力を行うことにしているが、既存の問題点を抜本から変える方針を打ち出しておらず、敢えて言えば、年中無休・24時間営業についてこれまでよりは、加盟店側が自由に選択できるようになった点を挙げることができる。確かに抜本的な解決は、これまでのコンビニエンスストアのビジネスモデルの変革にもつながることから、すぐにはできない部分もあるが、このままでは、これまでと同様、独占禁止法上の優越的地位の濫用の発生可能性はなくなっていないと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、日本のコンビニエンスストア業界における本部と加盟店間の問題にどのようなものがあるのかについて正確に把握することができ、さらにそれについての本部の対応策及び加盟店側の反応も収集・整理することができたことから、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度に収集・整理した、韓国のコンビニエンスストア業界の実態、本部と加盟店間の紛争での優越的地位の濫用の認定要件と、2020年度に収集・整理した日本におけるそれらのものを相互比較し、日本において優越的地位の濫用がより広く認められるための論理の構造化とその限界の明確化に努める。
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Causes of Carryover |
新型コロナの発生・拡大により、対面で行うインタビューや現地資料収集のための出張が困難であったことから、次年度使用額が発生した。状況が整えば、対面インタビューや現地資料収集を行う予定であり、その費用に充てる。
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