2019 Fiscal Year Research-status Report
調査協力の誘引を与えつつ抑止力が確保される独禁法等のエンフォースメントの研究
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19K01334
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
泉水 文雄 神戸大学, 法学研究科, 教授 (50179363)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 独占禁止法 / エンフォースメント / 課徴金減免制度 / 調査協力減算制度 / 裁量型課徴金 / 確約手続 / プラットフォーム |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、課徴金制度、課徴金減免制度、調査協力減算制度等について、わが国およびEU、米国について文献の収集、実務家、研究者からのヒアリングを行い、その研究成果を公表した。成果には、「独占禁止法のエンフォースメント」をテーマに日本経済法学会のシンポジウムのための研究会を3回開催し、総論「執行力を確保するとともに調査協力の誘因を与えるエンフォースメントの構築」を報告し、報告者、コメンテータと議論を進めた。課徴金制度の改正、調査協力減算制度の新設を行う令和元年独占禁止法改正について、衆議院経済産業委員会において参考人質疑に参加し(2019年5月)、また座談会「令和元年独占禁止法改正をめぐって」公正取引828号4頁において意義、問題点や課題を指摘した。 デジタル・プラットフォームのエンフォースメントについて、文献調査、ヒアリング等を行った。さらに、政府のデジタル市場競争会議と同WGに民間議員として参加した。日本エネルギー法研究所等で報告を行った。成果には、「時の問題プラットフォーマー型ビジネスに対するルール整備」法学教室466号49頁、日本国際経済法学会「共通論題デジタル貿易新ルール形成の現在」において、座長としてデータポータビリティ等について総論を示すとともに、議論を促した。デジタル・プラットフォームのエンフォースメントについて、読売新聞2019年4月10日、11月29日、朝日新聞2020年1月19日でコメントを行った。フリーランスへの競争法、下請法の適用上の課題について、公取委、内閣府の関係者からヒアリング等を行うとともに、自由民主党の調査会等で立法を含む課題について報告を行うなどした。国際執行について、プラットフォーム法案、個人情報保護法等を検討するとともに「国際カルテルに対する独占禁止法の適用」を公表した。 以上により研究期間において当初の計画どおり、研究を進めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
独禁法のエンフォースメントのあり方について、比較法研究をすすめることができた。同時に、2020年後の学会シンポジウムに向けて報告者、コメンテータ間で議論を行うとともに、座長としての報告原稿もほぼ完成した。また、令和元年独禁法改正について立法に関わるとともに、改正法について複数の論文等を公表した。 デジタル・プラットフォームのエンフォースメントについても、比較法研究をすすめるとともに、政府の立案に参加し、複数の論文を公表することができた。国際執行については、域外適用の問題に加えて、外国事業者に国内代理人や国内拠点を置く法制度を検討した。 以上のように、研究期間において当初の計画どおり、研究を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、エンフォースメントのあり方について、海外の文献、ヒアリング調査(コロナ禍が継続すればオンライン会議を含む)を行うとともに、日本経済法学会において座長としてシンポジウムに参加し、学会誌に総論を掲載し、議論をとりまとめる。 令和元年改正法について、規則、ガイドラインの公表を受けて、理論上の問題、実務上の問題等の検討を進めていく。これは論文およびさらに体系書での公表を進めていく。 デジタルプラットフォームのエンフォースメントについて、共同規制を含めて柔軟なエンフォースメントと一方では強力なエンフォースメントが必要な場面について、最新の外国の状況を調査し、比較法研究を中心に、さらに検討を加えていく。洗い出した論点について、とりまとめていく。
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Causes of Carryover |
出版予定の外国語専門書の出版が遅れ、年度内に入手ができなかった。また、購入予定位の図書の入荷が年度内に間に合わなかった。新型コロナ禍において、2月以降、東京等で開催予定の研究会が中止または延期となり、参加が困難になった。 購入予定のタブレット端末、付属製品の発売が予定より遅れたために、次年度に購入せざるを得なくなった。 これらは2020年度に購入を行う。また、コロナ禍が落ち着けば、研究会等も次第に再開され、出張もできるようになることが見込まれ、その際には参加を行う。
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