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2021 Fiscal Year Research-status Report

「雇用のための福祉」政策の日独比較研究―労働市場改革の検証

Research Project

Project/Area Number 19K01338
Research InstitutionToyo University

Principal Investigator

上田 真理  東洋大学, 法学部, 教授 (20282254)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2023-03-31
Keywords生活保障 / 労働市場改革 / 育児期間
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、日本より先に労働市場改革に着手してきたドイツとの比較を行い、従来の労働市場法政策が何をもたらしたのかを検証することである。なかでも、生活保障と雇用政策の総合的保障の視角から、「労働」の視点だけでは生活保障が抜け落ちることを認識する一方で、家族・世帯から捉えるだけでは労働力の育成の脆弱さが不鮮明になるのを回避する点に、本研究の意義がある。本来の計画では、ドイツでのヒアリングを予定していたが、コロナ感染拡大の予防から、文献研究を主に行った。2020年度は、当初の研究計画の福祉介護職を対象とした「職業訓練期の生活保障」を、職業ではない介護又は育児などの、労働市場での外での重要な行為を、被用者年金法を中心にどのようにドイツ法は評価しているのかを明らかにした。ポイントになるのは、被用者年金法のモデルとなるドイツ法は、1つに、労働市場での非自立的労働以外も適用するだけではなく、市場以外の重要な行為、育児期間又は介護期間、さらには職業教育期間にも適用されることである。2つに、労働市場での労働と、それ以外の行為(もう一つの「労働」)の評価・価値の異同は連邦憲法裁判所でもなお争点になっている。そこでは、労働者が育児などのケア労働も同時期に行う場合に、社会保障法ではいかに権利義務化するのか、問われている。
これを踏まえて、日本法でも労働者が育児や介護も担うことを「標準のモデル」とするにはどのような課題が析出できるのかが確認できた。この成果の一部を、東洋法学65巻3号(2022年3月)に公表した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初の計画では、ドイツでのヒアリングを予定していたが、コロナ感染拡大の予防から変更を得余儀なくされ、文献研究を主に行ったが、実務の背景にある基礎的な考え方を明らかにし、研究自体はおおむね順調に進めている。

Strategy for Future Research Activity

2021年度の成果として、労働者が自らの職業生活を設計し、それを豊かに営むには、「良質の労働」と、市場外での「ケア労働」の適切な価値の承認も不可欠であることが確認できた。そこで、2022年度は、1つに、「ケア労働」の評価を被用者保険法に加えて、休業時の時間(ドイツ法での親時間)及び経済的保障について、日独比較を行う。
2つに、職業生活の後の高齢期の所得保障は、労働者だけではなく、「雇用によらない働き方」「個人事業主」の公的年金法(社会法典6編)の適用問題も、すでにドイツでは取り組まれている。コロナ禍での芸術家などのフリーランスや自営業者の保障を、先述の育児も担うフリーランスについて検討したい。育児などのケア労働との両立可能な働き方として、フリーランスや小規模自営業者を選択しているからである。
両者については、文献研究をすすめつつ、ヒアリングが可能な状況であれば、ドイツでの実施も検討したい。

Causes of Carryover

次年度使用額が生じたのは、当初の計画ではドイツでのヒアリングを予定していたが、コロナ感染拡大予防のため渡航ができなかったことによる。次年度は、文献研究をすすめつつ、状況によりドイツでのヒアリングの実施を検討し、計画したい。

  • Research Products

    (1 results)

All 2022

All Journal Article (1 results) (of which Open Access: 1 results)

  • [Journal Article] 「就労」による生活の保障ードイツ社会保障法の労務給付アプローチ2022

    • Author(s)
      上田真理
    • Journal Title

      東洋法学

      Volume: 65巻3号 Pages: 95-127

    • Open Access

URL: 

Published: 2022-12-28  

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