2020 Fiscal Year Research-status Report
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19K01343
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川出 敏裕 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (80214592)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | リモートアクセス / 欧州評議会 / 執行管轄権 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の2年目にあたる今年度は、第1に、サイバー犯罪における国際協力に焦点を当てた検討を行った。具体的には、欧州評議会の”Cloud Evidence Group”において、国境を越えるサイバー犯罪の捜査について継続的な検討が行われ、複数の報告書が公刊されており、その会議資料を含めて、それらの網羅的な検討を行った。なお、当初の予定では、文献の検討とあわせて、この問題についての議論が最も進んでいると考えられるドイツに赴き、司法省の担当者及びドイツにおけるサイバー犯罪研究の第一人者である、マックスプランク国際・外国刑法研究所の前所長である、Ulrich Sieber教授のインタビューを行う予定であったが、わが国及びドイツの双方で、新型コロナウィルスの感染状況に改善が見られなかったため、やむなく訪問調査は延期することにした。可能であれば、来年度に実施をしたいと考えている。 第2に、捜査機関が日本国外に所在する可能性のあるサーバコンピュータに対するリモートアクセスを行ったという事案に関して、最高裁がその適法性について判断を示したあため(最決令和3・2・1裁判所ホームページ掲載)、その内容につき、この問題に関心のある研究者及び実務家と意見交換を行った。判示内容は、解釈の余地を残すものであり、これから様々な見解が示されると考えられるので、それらの議論を踏まえて、来年度に、本決定についての検討結果を雑誌論文のかたちで公表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
概ね計画どおりに進んでいるが、本年度に予定していた海外調査が実施できなかったため、その分、遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、状況が許せば、延期した海外調査を実施するとともに、本年度に出された最高裁決定を踏まえて、検討結果をまとめてできるかぎり早く公表するようにしたいと考えている。
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Causes of Carryover |
実施予定であった海外調査を延期したため。状況が許せば、来年度に海外調査を実施し、その旅費として支出する予定である。
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Research Products
(1 results)