2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K01343
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川出 敏裕 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (80214592)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | サイバー犯罪 / 越境捜査 / リモートアクセス / 国際司法共助 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終年度が始まる直前に、本研究のテーマの1つである、わが国の捜査機関による、外国に所在するサーバ・コンピュータへのアクセスとデータの取得の適法性につき、最高裁による判断が示された(最決令和3・2・1刑集75巻2号123頁)。最高裁の判断は、少なくとも一定の場合には、そのような捜査が許されるとしつつ、本件ではその要件が満たされておらず当該措置が違法であるとしたものであるが、それ以上に、どのような場合に外国の主権侵害が生じるのか、主権侵害が生じた場合にそのことが刑事訴訟法上の違法につながるのか、刑訴法上の違法となるとして、主権侵害が違法の重大性判断においてどの程度の意味を持つのか、といった点については明確に述べられていない。 そこで,本年度は,まず、前年度までの研究成果を踏まえ、それまでの下級審裁判例の動向も含めて、同判例の詳細な分析を行った。さらに、欧州評議会のサイバー犯罪条約委員会や欧州委員会における議論、アメリカのクラウド法,他の諸国における越境捜査における判例の動向などを参考に、①捜査機関が外国に所在するデータを一方的に取得する行為に対して国際的にはどのような規律がなされているか、②サイバー犯罪に関する捜査についてどのような国際協力の枠組みが存在しているかについて調査するとともに、この両者について、今後どのような方向で国際的な合意が形成されていくかについて検討した。そして,研究成果については、複数の雑誌論文として公表した。
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Research Products
(2 results)