2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K01344
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
嶋矢 貴之 神戸大学, 法学研究科, 教授 (80359869)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 正当防衛 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究初年度であり、各種予備的な調査と必要な研究打ち合わせを行った。以下の3点に特に重点的に取り組んだ。 1)研究テーマとして系譜研究につき、正当防衛を中心に、旧刑法改正、現行刑法制定、現行刑法改正作業に関する資料調査を行った。資料・調査量も膨大であり、成果として公表するには、多少の時間を要する。 2)主要テーマの1つである正当防衛に関して、刑法研究者3名と雑誌法学教室で共同連載を行う機会において、現在の判例実務の理解やその背後にある考え方につき、検討を行った。執筆担当ではないが、その成果は「正当防衛」(同誌465号:鎮目征樹氏執筆)、「過剰防衛」(同誌466号:佐藤拓磨氏執筆)にあらわれている。また、同じく正当防衛と研究テーマの1つである財産犯に関して、同様に複数回検討を行う機会をもち、自ら「共謀の射程と財産犯序(上)」(同誌475号)、「共謀の射程と財産犯序(下)」(同誌476号)を公刊した(2020年度分の業績となる)。 3)また、本テーマと関連しうる研究課題として、死体遺棄についての刑法学会WSの報告者を担当する予定で、予備的な調査を行った。死体に関する取扱いについては、広範とも思える処罰規定・保護法益理解・解釈が採用されているが、社会内での慣習や実態変化が非常に大きなファクターとして機能し、処罰範囲が実質的に統制されていると思われる。学会そのものはコロナウィルス流行により中止となったが、研究成果の発表・公刊の機会を本年度・来年度にかけて探ることとなる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度として、上記(1)~(3)のような準備的な調査・作業は実施することができた。他方で、年度の最終段階で、コロナウィルスの流行により、研究打ち合わせや資料調査を中止せざるを得ない事態や予定していた学会の準備および報告が、学会自体の中止により、流れるとという予期しない事態も生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には、初年度の作業(1)~(3)を深化させ、積極的な口頭報告や業績公刊を目指すこととする。また、誘拐罪等に関する研究にも着手し、複数のテーマを横断する視点から、社会内での実力行使という事象への考察を進めていく。 なお、コロナウィルスの流行については、必要に応じて、オンラインで研究打ち合わせや資料収集に切り替えていくこととなる。また、成果公表の機会についても、中止となったオフライン会合の再開に合わせて、再度、調整を行うこととする。
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Causes of Carryover |
コロナウィルス流行により、予定していた研究打ち合わせ、資料収集の出張が複数延期となり、資料の入手も遅れたため。適宜、流行緩和後に改めて実施する、オンラインでの実施に切り替える等の対応を行う。
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