2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K01344
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
嶋矢 貴之 神戸大学, 法学研究科, 教授 (80359869)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 暴行・脅迫 |
Outline of Annual Research Achievements |
社会内での実力行使の限界についての刑法的観点からの検討を行い、予定していた以下の研究成果を、論稿・口頭報告として公表した。 1つ目は、暴行・脅迫という刑法上の各犯罪の要件につき、その犯罪ごとの関係を検討するとともに、それぞれの意義、社会生活上の観点からの成立限界について検討し、法学教室489号20頁以下に雑誌論文として掲載した。日常的に行われうる有形力の行使を「暴行」と評価するためには、「不法」との評価を基礎づける考慮事情を総合的に検討する必要があることを明らかにした。2つ目として、第99回日本刑法学会ワークショップ(2021年5月30日開催)において、死体の取扱いをめぐり、葬送という社会慣習と、それに対応した社会内での取り扱いの問題について、議論の歴史的経緯の検討を行い、法益や処罰限界の具体化に関するオンライン報告を行った。3つ目として、注釈書「注釈刑法 第4巻」(77頁以下)において、財産犯の強盗について執筆を担当し、違法性阻却等の正当な実力行使の限界に関する検討を行った。 また、上記以外に、これまでの研究成果を深化し、それを社会に還元する活動として、性犯罪について、法制審議会刑事法(性犯罪関係)部会において幹事に就任し、社会的に許容される性的行為とそうでない行為(さらにその周辺行為)を立法化する作業に参画している。同じく、性犯罪に関しては、京都弁護士会において、講師として、日本の立法の沿革やこれまでの裁判例分析について、同弁護士会員を相手に研修としての講演を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定をしていた研究成果の公表は順調に行えたが、コロナウィルス等の影響による出張困難、研究会流会、書籍刊行の遅れなどにより、研究成果の取りまとめ作業に遅れが生じ、研究期間の延長を申請した。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究成果全体の取りまとめに努めるとともに、正当防衛に関する裁判例研究を進め、研究会で報告をし、雑誌論文として掲載することを予定している。死体遺棄罪に関する成果も論文として公表することを目指す。そのほか、引き続き、性犯罪の立法活動に参画し研究を深めていく。
|
Causes of Carryover |
コロナウィルス流行の影響により、出張困難や書籍刊行の遅れがあり、旅費や物品費を次年度において執行することが必要であったため。研究期間の延長も行った。
|