2020 Fiscal Year Research-status Report
捜査手続の密行化と任意捜査のコントロールに関する検討
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19K01348
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
内藤 大海 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(法), 准教授 (00451394)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 任意捜査 / 強制処分法定主義 / 法律の留保 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は新型コロナウィルス蔓延の影響により授業の形態が大きく変わったため、研究に割り当てるエフォートが著しく制限されてしまった。2020年末頃になりようやく研究活動に着手したが、執筆活動には至っておらず、調査の段階にとどまっている。その概要は次の通りである。 ドイツの捜査手法を概観し、そこからわが国における任意処分に対する規制のあり方を模索することを目的に、研究会を立ち上げ、3月から定期的に開催することとした(1~2ヶ月毎の開催予定)。この内容を取りまとめたものを連載の形で順次公表していく予定である。 初回は、ドイツにおける捜査の担手(斎藤司教授・龍谷大学担当)と法律の留保と裁判官留保(内藤担当)について各自取りまとめたものを報告した。現在、ドイツにおける法律の留保原則が捜査に及ぼすコントロールについて執筆準備活動に入っている。ドイツではかなり広範な捜査手法が強制の処分(Zwangsmittel)として法律の留保原則の下、刑訴法に個別的に規定されているが、その多くはおそらくわが国において任意処分と理解されるものである。裁判官留保(Cf. 令状主義)に服するか否かという問題とも関連するが、裁判官留保を広く認めつつ(つまり強制処分性を広く認めつつ)、具体的な規制の態様には強弱のバリエーションがあるというのがドイツ捜査法における規律であり、そこからわが国においても法律の留保原則を根拠として任意処分(ドイツにおいては強制とされるもの)に対するコントロールが可能となりうることが明らかになった(これから執筆する)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度前期から授業の仕方を大幅に変更せざるを得なくなり、授業準備だけに時間を取られた。また、学部内で教務関係の業務に従事していたため、特に前期中は度重なる会議など、学内行政的にもこれまでになく多忙を極めたため。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は大ブレーキになってしまい、一からのスタートになることは否めない。可能であれば研究期間の延長をしたいが、差し当たり、任意処分か強制処分の二者択一的なコントロールに陥っているわが国の現状に対し、より段階的な規制を提案したい。すなわち、任意処分/強制処分の判断枠組みは維持しつつ、任意処分についても、最決昭和51年3月16日の示した相当性判断の枠組みだけでなく、令状は要しないが法定によるコントールの可能性を提示する。
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Causes of Carryover |
全ての出張をキャンセルすることになったため。
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