2020 Fiscal Year Research-status Report
Research on the Generation of South-North Integrated Global Green Criminology and the Foundation of International Environmental Court
Project/Area Number |
19K01353
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Research Institution | Toin University of Yokohama |
Principal Investigator |
竹村 典良 桐蔭横浜大学, 法学部, 教授 (60257425)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 北側先進国グリーン犯罪学 / 南側途上国グリーン犯罪学 / 南北統合グローバル・グリーン犯罪学 / 国際環境裁判所 / 持続可能な開発目標 / 脱植民地化 / 環境犯罪 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は、第一に、南側途上国および北側先進国に現象する環境・エコ犯罪の形態・パターンを明らかにし、第二に、北側先進国グリーン犯罪学の理論的解釈レンズを矯正し、南側途上国で発生し、犯罪、暴力などの植民地主義に根差す諸問題を克服し、南北統合グローバル・グリーン犯罪学を生成・発展させ、第三に、天然資源等をめぐる多国間の紛争を解決する「国際環境裁判所」の創設のための諸条件を解明した。 具体的には、これまで研究成果をまとめ、令和3年3月に京都で開催された第14回国連犯罪防止会議において、3つの研究報告書、「Intensification of Natural Resource Conflicts, Environmental Crime, Human Rights Abuse, and Arguments for and against Introducing International Environmental Court」「Desperate 'Dystopia' instead of Brilliant 'Utopia' in Environment and Ecology: Abyss as a Result of 'Progress of Scientific Technology and Development of Society'」「AI-Algorithm-Big Data, Predictive Criminal Justice and Hyper Crime/Social Control: Surveillance Capitalism after 'Singularity' and Prospects of Informational Civilization」を発表した。 また、人工知能(AI)の研究・実践における利用に関する研究に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
理由 本研究の三本柱、第一に、南側途上国および北側先進国に現象する環境・エコ犯罪の形 態・パターンを明らかにし、第二に、北側先進国グリーン犯罪学の理論的解釈レンズを矯正し、南側途上国で発生し、日常生活に影響する犯罪、暴力、正義の多様なパターンを説明し、植民地主義に根差す諸問題を克服し、南北統合グローバル・グリーン犯罪学を生成・発展させ、第三に、天然資源等をめぐる多国間の紛争を解決する「国際環境裁判所」の創設のための諸条件を解明する、を着実に進めている。 また、これらの計画を実施するための5つのプロジェクトを実行に移している。その中で、「複雑かつグローバルな環境・エコ犯罪の現状を把握し、その総合的な対策を講じる際に、人工知能(AI)の知見を活用することの可能性と問題点について検討する」という新たな視点が生まれた。この新たな視点を導入することにより、5つのプロジェクトがより複雑かつ総合的なものとなることが期待される。すなわち、第一に、各地域における環境・エコ犯罪について、グローバルな現象の関連性など総合的に把握することができるようになり、第二に、シミュレーションなどの精度を高め、持続的開発目標を実現するための政策提案の実現可能性を高め、第三に、事前予測と事後処理など国際環境裁判所の多様な形態が構想できるようになる。このようにして、将来的に発展可能性のある研究・プロジェクトが創出されることが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は、第一に、南側途上国および北側先進国に現象する環境・エコ犯罪の形態・パターンを明らかにし、第二に、北側先進国グリーン犯罪学の理論的解釈レンズを矯正し、南側途上国で発生し、日常に影響する犯罪、暴力、正義の多様なパターンを説明し、植民地主義に根差す諸問題を克服し、南北統合グローバル・グリーン犯罪学を生成・発展させ、第三に、天然資源等をめぐる多国間の紛争を解決する「国際環境裁判所」の創設のための諸条件を解明する。 これらの計画を実施するために、新たな「人工知能の活用」を進める5つのプロジェクトを展開する。第一に、南太平洋島嶼における海洋汚染、生物多様性の減退、天然資源採掘と輸出、海面上昇と土地喪失、植民地化と生活環境の破壊などの現状を解明し、対処方法について考察する。第二に、ラテンアメリカ諸国における北側先進国多国籍企業による天然資源採掘と環境破壊について、生態系、人間の健康に悪影響が生じている現状、および、多国籍ビジネスによる重大な人権侵害について考察する。第三に、アフリカ諸国における気候変動、地球温暖化に伴う自然環境と生活環境の悪化・破壊について、複雑多様な現象が生じている現状を解明し、グローバルな危機状況への対応方法を探求する。第四に、「国連の持続能な開発目標」について、南側途上国の多数の地域において犯罪と暴力のリスクが高まる中で、犯罪を統制し、安全で正義にかなった社会を創り出すために、また、環境犯罪、生態系の破壊を阻止し、環境的正義を実現するために、南北統合グローバル・グリーン犯罪学がどのようにアプローチすべきか検討する。第五に、複数国に影響する水資源紛争、大気汚染、海洋汚染に関する紛争などの実態を解明し、経済発展と環境保護をめぐる紛争を調整し解決するための国際機関として「国際環境裁判所」の創設を提案し、その概要および前提条件について考察する。
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Causes of Carryover |
令和2年度は、「ナイル川流域における水資源をめぐる紛争と協力、グランド・エチオピア・ルネサンス・ダム建設と水資源ヘゲモニーの変化」に関する現地調査(ウガンダ、ケニアほか)を令和2年8月に予定し、マケレレ大学(ウガンダ)の現地研究者、ナイル流域研究所(ウガンダ)の現地スタッフほかと日程調整をしていたが、新型コロナウィルスの世界的蔓延のため、わが国のみならず調査対象各国における出入国制限が厳しくなり、状況が改善するまで現地調査を延期することにした。そのために、次年度使用額が生じた。 次年度使用額の使用計画は、令和3年度の現地調査費用あるいは調査研究文献の購入、資料収集に使用する予定である。
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Research Products
(10 results)