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2020 Fiscal Year Research-status Report

弁護人立会制度についての実証的・比較法的研究

Research Project

Project/Area Number 19K01354
Research InstitutionAichi Gakuin University

Principal Investigator

石田 倫識  愛知学院大学, 法学部, 教授 (20432833)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2023-03-31
Keywords弁護人立会い / 黙秘権 / 被疑者取調べ / 弁解録取 / 接見交通権 / 弁護人依頼権 / イギリス刑事手続 / 未決拘禁
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、わが国の刑事手続と整合的・適合的な弁護人立会制度を探求・構想するものである。本年度は、具体的な弁護人立会制度を設計するための準備作業として、主として以下の2点について、検討を行った。
第一に、イギリスにおける弁護人立会いの実際について、これまでに実施された実態調査(先行研究)の成果を文献調査によって確認し、かつ、自ら実施した参与観察によって得られた知見も加味したうえで、その研究成果を論文に纏めて公刊した。この作業を通じて、弁護人立会権の実効性を確保するためには、その前提として、(1)被疑者取調べに先立つ弁護人接見の保障と(2)実質的な法的助言を可能とするための事前の証拠(情報)開示が必要不可欠であることを確認し得た。
第二に、欧州諸国における弁護人立会権に関する議論や欧州人権裁判所の判例法を手掛かりに、弁護人立会権の意義・機能(及びその理論的根拠)に関する文献調査を行い、その研究成果を公刊した。欧州諸国において、弁護人立会制度が導入され始めたのは、2008年の欧州人権裁判所大法廷判決(サルダズ判決)とそれを受けて策定された2013年EU指令が出された後のことである。それゆえ、欧州諸国においても、弁護人立会権に関する充分な議論の蓄積があるとはいえず、弁護人立会権の理論的根拠(及び権利としての射程)についても、未だ共通の理解は得られていないようである。もっとも、近年、弁護人立会権の意義・機能(及び理論的根拠)として、供述強要からの保護(黙秘権の実質的保障)という点に加え、実質的な手続参加・関与の保障という点が強調されていることには留意する必要があろう。
その他、未だその研究成果を公刊し得ていないものの、(1)欧州諸国における弁護人立会制度の運用状況を把握・分析する作業、及び、(2)自由権規約を中心とする国際人権文書における弁護人立会権の位置付けを確認する作業を行った。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

新型コロナウイルスの影響により、今年度も海外における実態調査(参与観察)を実施することが困難となったため、研究活動の比重を実態調査から文献調査に移さざるを得なかった。もっとも、電子メールやテレビ会議を積極的に活用することで、可能な限り、海外の法律実務家からの聴取調査(ないし研究者との意見交換)を実施することができた。また、今年度は、昨年度までに実施した文献調査及び実態調査によって得られた研究成果を、中間報告として研究論文に取り纏め、公刊することができた。
以上の点を踏まえて、現在までの進捗状況につき、「概ね順調に進展している」と評価した。

Strategy for Future Research Activity

来年度(2021年度)も、新型コロナウイルスの影響により、海外での実態調査は困難と思われる。そのため、現地での参与観察等の実態調査の実施は最終年度(2022年度)に延期することとし、来年度は、主として、電子メールによるアンケート調査や、テレビ会議を活用したインタビュー調査を継続的に実施することとする。
また、前述の通り、今年度に引き続き、文献調査に基づき、欧州諸国における弁護人立会制度の運用状況を把握・分析する作業、及び、自由権規約を中心とする国際人権文書における弁護人立会権の位置付けを確認する作業を継続し、その成果を公刊する。
以上の準備作業を完了させたうえで、来年度以降、(1)わが国の刑事手続に適合的な弁護人立会制度として、どのような制度設計があり得るのか、また、(2)弁護人立会制度を導入することで、被疑者取調べが極小化・簡易化されることになった場合、被疑者取調べに代替する何らかの供述採取手段が必要とされるのか、(3)仮にそのような代替手段が必要とされる場合、如何なる代替手段を構想し得るのか、という点について、全体としての刑事手続の整合性にも留意しながら、本格的な検討・考察に着手する予定である。

Causes of Carryover

新型コロナウイルスの蔓延のため、対面形式での国内研究会を実施することやイギリスでの実態調査を行うことができず、当初、旅費として使用予定であった予算の大部分を執行できなくなった。そのため、当初の研究計画を大幅に変更し、文献調査を先行させることとし、書籍(洋書)の購入及び文献の取り寄せ・複写等の費用に充てることとした。しかし、書籍(洋書)の一部について、期限までに納品されなかったために、若干の次年度使用額(24,511円)が生じた。なお、当該助成金については、次年度における書籍(洋書)の購入に充てる予定である。

  • Research Products

    (9 results)

All 2021 2020

All Journal Article (7 results) Presentation (1 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] 弁解録取手続と弁護人接見2020

    • Author(s)
      石田倫識
    • Journal Title

      刑事法学と刑事弁護の協働と展望(大出良知・高田昭正・川崎英明・白取祐司先生古稀祝賀論文集)

      Volume: ー Pages: 217-233

  • [Journal Article] イギリスの未決拘禁・保釈法制~イギリスに「人質司法」は存在するのか?2020

    • Author(s)
      石田倫識
    • Journal Title

      近畿弁護士会連合会・刑事弁護委員会『人質司法の打破・不拘束原則の実現を目指す弁護実践の追求』

      Volume: ー Pages: 117-124

  • [Journal Article] 弁護人立会い否定論に対する批判的考察2020

    • Author(s)
      石田倫識
    • Journal Title

      季刊刑事弁護

      Volume: 104 Pages: 15-19

  • [Journal Article] 弁護人立会権の理論的根拠に関する一考察2020

    • Author(s)
      石田倫識
    • Journal Title

      法律時報

      Volume: 92(11) Pages: 114-117

  • [Journal Article] イギリスにおける弁護人の援助を受ける権利―――弁護人立会権を中心に2020

    • Author(s)
      石田倫識
    • Journal Title

      法律時報

      Volume: 92(10) Pages: 71-73

  • [Journal Article] イギリス刑事事件再審委員会の現状と課題2020

    • Author(s)
      石田倫識
    • Journal Title

      刑法雑誌

      Volume: 59(1) Pages: 77-89

  • [Journal Article] 判例回顧と展望 刑事訴訟法2020

    • Author(s)
      石田倫識=服部朗
    • Journal Title

      判例回顧と展望 2019(法律時報増刊号)

      Volume: 92(6) Pages: 195-210

  • [Presentation] 実効的な弁護を受ける権利~弁護人立会権と接見交通権を中心に2021

    • Author(s)
      石田倫識
    • Organizer
      日本刑法学会・名古屋部会
  • [Book] 刑事法学と刑事弁護の協働と展望〔大出良知・高田昭正・川崎英明・白取祐司先生古稀祝賀論文集〕2020

    • Author(s)
      石田倫識、伊藤睦、斎藤司、関口和徳、渕野貴生
    • Total Pages
      976
    • Publisher
      現代人文社
    • ISBN
      9784877987657

URL: 

Published: 2021-12-27  

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