2021 Fiscal Year Research-status Report
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19K01370
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
榊 素寛 神戸大学, 法学研究科, 教授 (80313055)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | サイバーリスク / 地震保険 / 企業保険 / 新型コロナウイルス / 約款 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究3年度目である2021年度は、研究計画に従い、サイバーリスクと新型コロナウイルスの研究を継続するとともに、前年度から企業保険の研究の比重を高めていることを受け、地震保険等の企業分野の研究を行った。具体的には、以下の通りである。 第一に、日本保険学会全国大会での報告として、企業にとっての地震保険の研究を実務家とともに行った。この研究では、需要者としての企業にとっての地震リスクの位置付けやリスクマネジメントのあり方、再保険の市場の状況やブローカーによる再保険のアレンジなど、従来は得られていなかった実務家の視点を受け、法学者として研究を行うこととなった。しかし、従来の法学者の研究手法では実務家の問題提起を正面から受け止めた研究を行うことは容易ではない。そのため、法学者がこの研究領域を開拓するために必要なことは何か、どのような手法で研究を行うべきか等を報告するとともに、論文を投稿した。 第二に、新型コロナウイルスに対する保険会社の対応について、従来から形成されてきた入院の意義などの約款解釈との整合性に疑義のあるものが発見された。このような対応は、そもそも約款解釈として可能なものであるか、緊急事態宣言など異なる観点から基礎づける必要があるか、新型コロナウイルス以外の解釈論に波及するかなど、法的論点を多く含むものと考えられる。そのため、主として人保険分野を対象として、その法的根拠、約款との整合性、想定される法的論点などの研究を開始した。 第三に、前年度までの研究を踏まえ、サイバーリスクと保険の研究を継続した。企業にとってのサイバーリスクは、保険法に関する論点だけではなく、会社法上の論点もあることから、保険法・会社法の双方の観点からの研究を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルスの影響によりリサーチ活動が制約されるとともに、書籍の出版・流通が遅延していたが、これらを踏まえて軌道修正を行い、研究成果の報告や公表に向けた動きが具体化したため。
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Strategy for Future Research Activity |
想定より後れているリサーチは可能な限りで行うが、成果公表にフォーカスする段階となっているため、研究報告・執筆の比重を高める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響による書籍の出版・流通の遅延や調査活動への制約が理由である。書籍については刊行されたものの入手に努め、調査計画については修正をし、業績の公刊に必要な活動のウェイトを高める。
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Research Products
(1 results)