2020 Fiscal Year Research-status Report
フランス法を起点とした包括担保法制の比較研究(ケベック法・ベルギー法・日本法)
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19K01376
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
片山 直也 慶應義塾大学, 法務研究科(三田), 教授 (00202010)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 流動資産担保 / 事業資産担保 / 債権担保 / 金融資産担保 / フランス法 / ベルギー法 / ケベック法 |
Outline of Annual Research Achievements |
動産・債権担保法制をめぐる二元的構成の新たな2つの動向という視角から、フランス、ベルギー、ケベックの動産担保法改正の動向について研究・調査を行い、「動産・債権担保法制をめぐる二元的構成の新たな2つの動向―フランス法を起点としたベルギー法・ケベック法の比較研究の試み―」というタイトルで成果を公表する準備を進めている。第1の動向は、資産に応じた担保類型として、①流動資産・事業資産担保(surete sur les biens circulants ou le fonds, exploitation)と、②債権・金融資産担保(surete financiere, valorisation)の2つの資産類型を区別するという点であり、第2の動向は、担保の構造に応じた類型として、①優先権担保(surete preferentielle)と②排他権担保(surete exclusive)を区別する動向である。これは、研究代表者の財の集合的把握に関する研究に基づいて、財の集合的把握について、①固定資産の一体的把握、②流動資産の一体的把握、③金融資産の一体的把握、④事業の一体的把握と資産の分離の4つに分けて整理する方向性を発展させたものである。この2点を抽出することにより、2021年4月からスタートする法制審議会担保法制部会を中心としたわが国の法改正論議に一石を投じる予定である。並行して、フランスにおいて進行中の担保法改正をめぐる議論を紹介し、「担保法改正準備草案」の翻訳作業も進めており、その成果の一部はすでに公表しているが、2021年度には、草案の条文および解説の翻訳を公刊する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2年目の2020年度は、まずは、基礎研究として、1年目の「担保価値維持義務」概念に続いて、「包括体」概念について、フランスにおける調査研究を行うこと、立法論的な提言に結びつける応用研究として、1年目の調査研究を踏まえて、フランス・ベルギー・ケベックにおける二元的構成の動向についての成果をまとめることの2つの計画を立てていたが、新型コロナウイルス感染状況に鑑みて、前者については2021年に回して、後者を中心に研究を進めることにした。その結果、立法論的提言についてはほぼ成果を公表できる段階に達したが、前者については、2021年度に持ち越しとせざるを得なかった。併せて、2020年秋に、フランス・ベルギー・ケベックの比較国際シンポジウムを開催する予定であったが、これについても延期せざるを得ない状況となった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、まずは、2020年度に先行して進めた応用研究を「動産・債権担保法制をめぐる二元的構成の新たな2つの動向―フランス法を起点としたベルギー法・ケベック法の比較研究の試み―」として早期に公刊を目指したい。 次いで、基礎研究として、昨年度から持ち越された「包括体」概念の研究と、当初から予定されていた「充当」概念の研究を、フランスでの調査を中心に進めたいと考えている。 さらに、秋には、本研究の集大成として、フランス、ベルギー、ケベックの研究拠点から研究者を招聘し、動産担保法制の改正をテーマにシンポジウムを開催したいと考えている。
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Causes of Carryover |
2020年度は、新型コロナウイルスの感染状況から、フランスでの調査研究およびフランス・ベルギー・ケベックの比較国際シンポジウムを実施することができなかったことから、それらを2021年度に実施することとしたため。
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Research Products
(3 results)