2021 Fiscal Year Research-status Report
フランス法を起点とした包括担保法制の比較研究(ケベック法・ベルギー法・日本法)
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19K01376
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
片山 直也 慶應義塾大学, 法務研究科(三田), 教授 (00202010)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 動産債権担保法改正 / フランス担保法 / ベルギー担保法 / ケベック担保法 / 有体動産質 / 無体動産質 / 排他的担保 / 所有権担保 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、当初予定の最終年度であることから、2019年度に行ったパリ第2大学(フランス・パリ)、マギル大学(カナダ・モントリオール)、ブリュッセル自由大学(ベルギー・ブリュッセル)を研究拠点とした在外研究を取りまとめた片山直也「動産・債権担保法制をめぐる二元的構成の新たな二つの動向―フランス法を起点としたベルギー法・ケベック法の比較研究の試み―」法学研究94巻11号(2021年11月)1-73頁を公表した。本稿では、フランス法を起点とした、ケベック法およびベルギー法の比較研究から、それぞれ異なる外在的要因によって、「機能的アプローチ」に基づく「一元的構成」を導入したケベック法とベルギー法において、その後、有価証券のペーパレス化に対応した金融担保法制の変容を契機として 広く債権担保について、動産担保と区別した取り扱いを行うという新たな「二元的構成」の傾向が看取されるようになり、動産担保について「有体動産質(gage)」と「無体動産質(nantissement)」の区別する「二元的構成」を採るフランス法に再び回帰している点を分析検討し、わが国における動産債権担保法改正への示唆を抽出している。さらにそれを補完する2つの翻訳を公刊した。「2017年フランス担保法改正準備草案―アンリ・カピタン協会グリマルディ委員会による条文案およびその解説―」法学研究94巻6号(2021年6月)67-125頁・齋藤由起教授と共同執筆)およびピエール・クロック/片山直也(訳)「所有権担保と2017年フランス担保法改正準備草案」慶應法学48号(2022年3月)215-237頁)である。さらに、2022年2月12日に日仏法学会で、齋藤由起北海道大学教授と「2021年フランス担保法改正オルドナンスの概要―動産・債権担保を中心に―」と題する報告を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
この3年間で、ほぼ当初予定した主要な研究業績を公表することができたが、2年連続、新型コロナウイルスの影響で、その成果を踏まえて海外研究拠点の研究者との比較法シンポジウムを行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間を1年間延長し、2022年11月26日、27日に研究拠点の一つであるパリ第2大学から3人の担保法研究の第一人者(ミシェル・グリマルディ、ジャン=ジャック・アンソー、シャルル・ジスベール)を招聘して日仏担保法シンポジウムを実施することを予定している。 その成果を踏まえて、比較法研究から得られる日本法への示唆をまとめたい。
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Causes of Carryover |
本年度は、新型コロナウイルスの影響で、海外研究拠点での調査、国際シンポジウムの準備および実施ができなかったことから、改めて2022年11月26日、27日に海外拠点であるパリ第2大学から、3人の担保法研究の第1人者(ミッシェル・グリマルディ、ジャン=ジャック・アンソー、シャルル・ジスベール)を招聘して、国際シンポジウムを実施することとしている。その直前に、調査を兼ねた準備のために海外出張を予定している。
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