2020 Fiscal Year Research-status Report
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19K01383
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
中田 邦博 龍谷大学, 法学部, 教授 (00222414)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高嶌 英弘 京都産業大学, 法学部, 教授 (70216646)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ドイツ法 / ヨーロッパ私法 / 民法の現代化 / 比較法 / インターネット取引 / 不正競争防止法 / 不公正取引方法 / 消費者法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の計画に従って、昨年度に引き続き、研究作業を行った。その内容として第1に、ドイツ契約法の現代化の過程の分析を継続した。本作業に必要な文献を収集し、EUの消費者権利指令、オンライン・デジタルコンテンツ契約、現代化指令等からのドイツ法への影響に着目した分析を継続した。第2に、オンラインインターネット取引の構造の解明について、インターネットプラットフォーム仲介者の契約法的責任の視点からの分析を継続した。第3に、この問題に関する国際的な研究グループないしネットワークを形成し、共同研究会やセミナー等を開催し意見交換を行った。第4に、不公正取引方法指令の翻訳を公表した。また、それに関連する作業として、ドイツ不正競争防止法の分析と翻訳作業を継続し、成果を取りまとめ、できるだけ早い時期に公表する予定である。 具体的な作業としては、①ドイツ契約法の現代化現象の分析を、その内在的な展開に着目しつつ、進めることができた。これらの成果を前提とし、さらに比較法な知見を生かして日本法への示唆を得た。②ドイツ契約法に影響を与えるヨーロッパレベルでの展開を理解するために、ケッツ『ヨーロッパ契約法』(2版)の翻訳作業に継続して取り組んでいる。③オンラインプラットフォーム取引に関する理論問題について検討した。研究組織を形成し、研究会を定期的に開催した。その成果の一部は日本消費者法学会で報告し、現代消費者法でも公表した。④電子署名の比較法的検討を行い、公表した。⑤消費者契約法と特商法の検討を行った。⑥ドイツ法やEU法の最新の動向に関する情報収集のためにマックス・プランク外国私法・国際私法研究所およびヨーロッパ法研究所(ELI)でのオンライン講演会および研究会に参加し、それらを通じて人的ネットワークを発展させた。ブッシュ教授のオンラインプラットフォームに関するセミナーに参加した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に従って研究作業を予定通り進行させた。計画していた学会報告も、オンラインによる形式で行い、大きな反響を得た。こうした学会の開催にも積極的に協力することができた。研究の進展に対応してその研究成果を適切な時期に発表することに努めた。また、関連の研究会にも参加することができ、研究の内容を深めることができた。とりわけ、オンラインプラットフォーム取引および消費者問題について研究会を組織し、検討を深めることができた。インターネットを通して海外での研究会ないしセミナーに参加することできた。とりわけ、国内外の研究者との交流や情報交換によって、共通の課題の設定を行い、研究テーマの広がりを確認した。もっとも、コロナ禍のなか海外との研究者との交流に一定の制約を受けているが、WEB会議を設定し、Webinerによる学会に積極的に参加することによって成果を上げることを試みている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に従い、理論的かつ比較法的な視点から、ドイツ契約法の動向について分析を深めることを継続する。この内容については、ヨーロッパ消費者法研究会において研究報告を行い、意見交換を行う予定である。とくに、契約法の現代的な現象についても引き続き分析を継続する。具体的には、デジタルコンテンツ契約の在り方、またデジタル・プラットフォームに関する契約法理論の展開、さらに消費者問題の広がりにも視野を広げて分析を行うことにしたい。消費者の損害賠償請求権の在り方についても権利実現の観点から検討をする。また、今後は、本研究成果の一部として、オンラインプラットフォーム事業者の契約上の責任に関する成果をまとめる作業を行うことにするが、同時にそれはデジタルプラットフォーム取引の比較法的研究にも視野を広げるものとなろう。 この間、収集した関連文献やデータの整理も行い、また重要な論文については基礎資料として翻訳の公表も検討する。コロナ禍の影響がどのぐらい長引くかにもよるが、できれば、夏期に、ドイツのマックス・プランク研究所を拠点として、幅広く情報収集を行い、現代的な問題の把握に努めることにしたい。また、9月に外国の学会への出張を行うことも計画する。
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Causes of Carryover |
当初計画されていた学会および研究(外国)出張がコロナ禍等の事情から当該年度において実施することができなかったことによる。次年度において実施を計画するとともに、それが難しい場合には代替策を検討し実施する。
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