2020 Fiscal Year Research-status Report
訴訟における情報および証拠の収集に関する研究(知的財産権訴訟を題材として)
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19K01384
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Research Institution | Seinan Gakuin University |
Principal Investigator |
濱崎 録 西南学院大学, 法務研究科, 教授 (90432773)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 民事訴訟法 / 証拠・情報の収集 / 立証負担の軽減 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、新型コロナ感染症の感染拡大に伴い、予定していたドイツでの資料収集ができなくなったことにより、研究計画にも大きな変更が生じたことに起因し、研究成果を示すことができなかった。 ただし、オンラインで実施された各種の研究会には、従来なら遠隔地であることや日程の関係で参加が難しかったものも含めて参加することができたため、情報の収集や意見交換は予定よりも進めることができた。また、文献研究による情報収集も一層進めているため、次年度は、研究実績を成果として示すことができると考えている。 本研究の当初の研究の目的との関係で、現段階では、通常民事訴訟において、これまで立証負担軽減のための理論として唱えられてきた事案解明義務や民訴248条に関する議論状況を再度整理したほか、この理論が近年の民事訴訟のなかで新たに用いられるようになりつつある事案の抽出と、その妥当性を検討した。特に消費者訴訟に関する分野での立証負担の軽減が議論されることが増えているが、この分野では法改正に関する動向も把握する必要があり、その情報収集にも努めている。 また、知的財産訴訟における証拠や情報の収集に関する特則の制度趣旨および背景にある理念をまとめ、これらと民事訴訟における証拠・情報の収集の場面における問題との比較と共通項の抽出の可否について現在検討を行っているところである。この一部は藤本利一ほか編『次世代民事司法の理論と実務(仮題)』(法律文化社、2022年刊行予定)に掲載の原稿の一部として、現在すでに執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当該年度は、新型コロナ感染症の感染拡大に伴い、予定していたドイツでの資料収集ができなくなったことに加え、勤務校における授業の形態をオンラインに変更することに伴う業務量が大幅に増加し、研究のエフォートを低くせざるを得なかったため、研究計画にも大きな変更が生じたことに起因している。 ただし、上記の通り、オンラインでの研究会には精力的に参加したほか、文献研究も進めており、次年度の研究成果の公表に努める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の今後の推進方法については、研究の基盤をなす情報収集の一端が、いまだ感染の拡大がみられる新型コロナウイルスの世界的な感染状況に左右されるため、変更の必要がある。具体的には、当初の計画よりも、文献研究の比重を増加させることで対応する。具体的な事案における問題抽出を裁判例等から行うこととし、特に知的財産訴訟における問題点と通常民事訴訟における問題点の共通項をより明確に提示することを目指す。また、できるだけ最新の議論に触れることを目指して、今後も、オンラインで実施される各種の研究会等に積極的に参加することで情報収集を図る。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた最大の理由は、世界的な新型コロナウイルス感染拡大に伴い、ドイツでの情報収集が不可能となり、このために計上していた渡航費等の使用ができなかったことによるものである。さらに、国内での研究会も年度の途中からオンラインでの実施となり、その参加のために計上していた国内旅費も使用する必要もなくなったためである。
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