2020 Fiscal Year Research-status Report
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19K01398
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Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
窪 幸治 岩手県立大学, 総合政策学部, 教授 (60404828)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | オンライン取引 / プラットフォーム / 情報提供 / 契約責任 |
Outline of Annual Research Achievements |
オンライン取引プラットフォームの収益の源泉の一つとして重要な事業と考えられる広告に着目して検討を行った。デジタル市場競争会議や公正取引委員会の実態報告書などを参考に広告主、代理店、プラットフォーム事業者の関係性、それに相応な法的義務を探った。 成果としては、主に広告内容が誤認・困惑を導く場合に、広告主に対して消費者からどのような責任追及が可能かを探った、拙稿「オンライン広告と責任(序論)」(岩手県立大学「総合政策」22巻91頁)を公表した。広告主だけでなく、広告代理店の補助者性を肯定することによる取消し規定等の適用、情報提供義務による賠償責任について論じた。 上記拙稿では、プラットフォーム事業者の責任について広告代理店と同じ立場になりうることを指摘したにとどまる。もっとも、寡占状態にある大手事業者においてガイドラインを策定し、掲載許否・削除を行っていることを確認した。取引業界の社会通念として名誉毀損、危険性、詐欺的な広告などにつき管理可能性・権限を有しており、問題ある情報が発見された場合には、対応する義務が生じる抽象的可能性は導くことは可能と言える。 また続けて、オンライン取引プラットフォームにおいて重要な地位を占める決済事業について、取引情報の集積と活用の状況、その機能をどう位置づけるべきかの検討を始めている。清算までの時間的制約の差異、問題ある事業者の情報(特に事業者の存否や詐欺的商法等)を取得しうる可能性、プラットフォーム事業者との関係性を調べている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
消費者庁、消費者委員会における議論の進展に自らの整理が追い付いていない。
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Strategy for Future Research Activity |
二方向でまとめる予定である。まず、取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律が制定されたことを受け、紛争解決のしくみ等を構築する努力義務や販売店等の情報開示請求制度などを、民事法に取り込むこと。従前の行政法規や自主規制ルールを民事上の義務とする議論を参照して展開することを考えている。 次に、単なる場の提供でなく、場を規律し、マッチングされた当事者の法的関係をも規律を及ぼす存在(プラットフォーム事業者による取引の成立時期や引渡し、決済方法等の設定・提供)として、従前の仲立ち・委任等との異同を明確化すること。 以上の二つの観点から、最終年度であり、論文作成を行う予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で研究会等はオンラインで済むため、出張旅費の支出はほぼなく、書籍代等として支出予定。
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