2020 Fiscal Year Research-status Report
The Study on the Reconstruction of Parent and Child Support System in Child Custody and Child Support Disputes
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19K01405
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
棚村 政行 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (40171821)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 養育支援 / 養育費 / 面会交流 / 子の監護 / 親権 / 子ども養育 / 面会交流支援 / 養育費の履行確保 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年5月末に、研究代表者は、森まさ子法務大臣の養育費勉強会において、勉強会とりまとめを行った。2020年6月5日、参議院議員会館講堂において、立憲民主党・国民民主党の合同会議で、研究代表者は「養育費問題の法制化」について講演した。2020年7月15日に、オンラインにより、「養育費と履行の確保」という座談会を実施した。2020年8月3日、研究代表者は、日弁連家事法制委員会夏季合宿において、「養育費の合意形成と履行確保策」について講演を行った。2020年11月12日、衆議院第二議員会館において、公明党・不払い養育費問題対策PTにおいて、研究代表者は、「養育費不払い問題の解消に向けた法制度のあり方について」という講演を行った。2020年12月19日には、日弁連家事法制シンポで「養育費履行確保制度の課題と展望」というテーマで、研究代表者は「養育費履行確保制度の改革の可能性」という基調講演を行い、第2部のパネルディスカッションにも参加した。2021年2月21日には、東京都の離婚前後の親支援講座で「もう一度、子どものことを考えてみようー明日に向かって」という講演を飯田橋セントラルプラザにおいて行った。また、2021年3月6日には、日本家族〈社会と法〉学会及び養育支援制度研究会の合同シンポジウムとして、「養育費をめぐる法政策と公的支援システムの再構築」というテーマでの相談支援機関の立場から、山崎朋亮養育費相談支援センター長、当事者の立場から、しんぐるまざあずふぉうらむ赤石千衣子代表、弁護士の立場から福市航介弁護士、研究者の立場から、石田京子早稲田大学法務研究科教授、韓国について金亮完山梨学院大学教授に、また、養育費の合意形成と履行確保策について、研究代表者が報告をした。2021年4月21日、研究代表者は、参議院国民生活・経済に関する調査会において、参考人として意見陳述を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度も、全国に先駆けて2014年4月からこども養育支援ネットワークの取り組みをはじめた兵庫県明石市での子ども養育支援ネットワークの取り組みや効果について調査を実施した。明石市の面会交流支援は、2016年10月に開始し、交流日程等の調整、子どもの受け渡し、駅前のプレールームでの付き添いなど、4年半で、34人の子どもに対して221回の面会交流支援を実施した。また、養育費についても、明石市は、2019年10月から養育費不払い問題に対する自治体としての取り組み行い、2020年6月には、新型コロナウィルスの感染拡大の影響で困窮するひとり親世帯を対象に、養育費支払い義務者に働きかけ、支払いがないときは1か月分(子ども1人につき上限5万円)を立て替え払いし、義務者に督促する養育費緊急支援事業を開始した。また、明石市は、養育費の債務名義を取得する手続を助言するとともに、債務名義作成費用を補助する事業も2020年7月から開始した。利用実績としては、養育費債務名義化支援事業の利用状況も、2021年3月時点で、申し込み34件(子ども63人となった。研究代表者は、上記の明石市の子ども養育支援、養育費、面会交流支援のアドバイザーをしている。また、2020年4月からは、神戸市、堺市、仙台市、東京都港区、船橋市、東大阪市、福岡市、大津市などでも養育費を受け取らず困窮しているひとり親家庭の支援策として、民間保証会社への養育費回収代行の費用補助や公正証書・調停調書などの作成費補助などが始まり、他の自治体にも広がりつつある。2020年11月には、研究代表者が海外でのオンライン面会交流の実施状況をレクチャーし、これを参考にして、東京家庭裁判所でも、オンラインを利用した間接的な面会交流の実務指針が公表された。このように、本研究の成果や提言は、国の法整備や制度化、支援の充実化に着実につながっている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、東京家庭裁判所における面会交流や養育費に関する親ガイダンスの取り組みの実情やその効果、課題についてヒヤリング調査を実施したものの、大阪家庭裁判所、京都家庭裁判所等の取り組みの調査は、新型・変種コロナウィルスの感染拡大に伴い実施ができなかった。また、東京都の離婚前後の親支援講座のテキストの作成、支援プログラムの内容や講師の選定についても、2020年12月までに研究代表者が座長として取りまとめを行った。2021年6月には、ひとり親家庭支援員の研修も予定している。さらには、アメリカ、オーストラリア、韓国、香港、台湾、シンガポールなどのアジア・太平洋地域の諸国での子ども養育紛争での当事者支援ネットワークの形成の実情と課題について、現地でのヒヤリング調査も困難になった。そこで、できるかぎり、自宅でもできる文献・資料調査やオンラインやWeb会議などの非対面型の調査に切り替えるとともに、可能な範囲での調査研究を行う予定である。さらにまて、法務省は、2021年3月30日より、法制審議会家族法制部会を立ち上げ、研究代表者も委員として参加し、離婚前後の面会交流、養育費の取り決め支援、履行実現支援、親権・監護制度の見直しのための審議を開始した。研究代表者は、養育支援制度研究会、家族と法研究会の代表者としても、子ども養育支援をめぐる有効な当事者支援システムの再構築に向けた具体的な提言と法整備・社会的支援の強化に向けた取り組みを続ける予定である。
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Causes of Carryover |
専門的知識の供与に対する謝礼額で計算の誤差が出てしまった。次年度の交付金と合わせて使用したい。
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Research Products
(7 results)