2020 Fiscal Year Research-status Report
Civil Liability for Disclosure Violations in Financial Market
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19K01407
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
和田 宗久 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (60366987)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 不実開示 / 金融商品取引法 / 会社法 / 民事責任 / 課徴金 / 証券市場 / クラスアクション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、わが国および主要国における虚偽の情報開示に対するエンフォースメントの状況について分析を行い、今後、どのような形で民事責任制度を活用していくことが、虚偽の不実開示の実効的な抑止に繋がり、証券市場のIntegrityの向上に結びついていくのかということを様々ななデータの分析や有用なモデルの構築と同モデルを用いた分析によって導き出すことを目的とする。 2020年度(令和2年度)は、2020年度に引き続きCOVID-19の蔓延による影響を受けたことにより、予定していた研究出張等を遂行することができず、また、計画していた証券市場における不実開示を抑止をする制度あり方を導くための、データ分析やモデルの構築に関しても、それらの準備作業を行うに留まり、具体的なアプトプットを出すまでには至らなかった。他方で、アメリカやイギリス等の主要国における近時の虚偽の情報開示に対するエンフォースメントの状況に関する調査については、判例や事例の動向について分析を行い、一定の進展をみた。具体的には、この分野の有名な判例であるアメリカのHalliburton事件(Halliburton co. v. Erica P. John Fund, Inc. 134 S. Ct. 2398 (2014))の後の証券クラスアクションの動向、イギリスにおいてスーパーマーケット・チェーンを営むテスコが起こした不実開示事例などの分析を行った。こうした海外の判例・事例の動向に関する調査・分析については、既に1つの論文にまとめたうえで脱稿しており、同論文は2021年度前半の間に公表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上述したように、2020年度(令和元年度)は、2019年度に引き続き、いわゆるCOVID-19の流行より、研究代表者が大学で行う教育面・研究面での業務に関して特別な対応をとる必要があったこと等により、海外への研究出張等が実施できないなど、研究計画にあった予定をこなすことができなかった。また、本研究における研究手法面でのチャレンジである「デー分析またはモデルを用いた分析等」を行うべく、そのための資料収集および事前準備等も引き続き行ったものの、それらの状況も当初の想定と比較して遅れ気味である。 海外への研究出張に関しては、現状では実施が予定できないことから、それを補うべく、海外で公表された論文・資料となり得るデータの精読を通じた資料収集である程度の補完を行った。その成果は、2021年度中により一層の公表をしたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、過去の具体的な不実開示事例の分析、現在の市場の状況、それに関わっている責任主体となり得る者らの状況等を踏まえ、多角的にデータ分析を行っ行い、かつ、ある程度平均的な責任主体となり得る者らが想定されることを前提に、ある種のモデルを構築し、そのモデルを詳細に (できれば、コンピューターを用いて)分析することによって、最適な填補や不実開示の抑止に繋がる制度のあり方を導き出すことの可能性も探りたいと考えている。2020年度も、2019年度に引き続き、海外への研究出張とを実施することができず、資料・データ収集の面で遅れをとっているが、そうした点の研究の確実な遂行という観点から、本研究の期間を1年延長することも含めて検討していきたいと考えている。また、2021年度は、コンピューターを用いた分析を行うためのプログラミング環境の整備、プログラミング言語の習得をより一層進めることに注力し、今後の具体的な分析・研究に備えたいと考えてる。
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Causes of Carryover |
2020年度(令和元年度)は、COVID-19の流行より、とくに研究計画において予定していた海外出張を実施することができなかったもあり、予定通りの研究を遂行することができなかった。今後は、研究の着実な実施という観点から研究期間の延長も視野に入れつつ、状況の推移を注視しながら、可能なところから研究を実施していきたいと考えている。
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