2021 Fiscal Year Research-status Report
Civil Liability for Disclosure Violations in Financial Market
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19K01407
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
和田 宗久 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (60366987)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 不実開示 / 金融商品取引法 / 会社法 / 民事責任 / 課徴金 / 証券市場 / クラスアクション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、わが国および主要国における虚偽の情報開示に対するエンフォースメントの状況をもとにしつつ、どのような形で民事責任制度を活用していくことが、虚偽の不実開示の効果的な抑止に繋がり、証券市場のIntegrityの向上に結びついていくのかということについて、データ分析や有用なモデルの構築と同モデルを用いた分析によって導き出すことを目的としている。 2021年度(令和3年度)は、主に各国の文献調査に時間を割いた。とりわけ、本年度は、会計学や経済学等の分野における文献を読み込んだ。それら分野では、ディスクロージャー情報における虚偽記載の探索・予測を行うことを試みる文献が数多くあるためである。加えて、虚偽記載の探索・予測を行うべく、故意の不正・虚偽記載と誤謬をいかにして区別し、また、何をもって重要な(Materialな)虚偽記載と見るかといったことに関連する議論の掲載されている文献の読み込みも行った。これらの調査・分析は、今後、本研究で行っていくデータ分析に活用していくための準備作業でもある。 あわせて、2021年度は、今後のデータ分析を行う際のデータの収集も行った。今後の具体的な活用方法の詳細は未定であるが、現時点では、 米国において証券取引委員会(SEC)が1982年から2018年の間に発した約4000件のAccounting and Auditing Enforcement Release(AAER)のデータを入手しており、今後のデータ分析に向けた準備を行っている最中である。 今後は、研究の最終年度において、実際にデータ分析を行い、具体的なアウトプットを出していくための作業を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度(令和3年度)は、2020年度に引き続き、いわゆるCOVID-19の流行より、予定していた海外出張等を実施することが出来ず、また、研究代表者が3か月程度、入院・療養したことにより、研究計画にある予定をこなすことができなかった。そのため、本研究の研究期間を1年間延長することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、データ分析の手法を用い、不実開示の抑止に繋がる制度のあり方を導き出すことを目指しているが、次年度が研究の最終年度ということもあり、これまで行ってきた準備的な文献調査、その他の準備に基づき、具体的なデータ分析を行い、具体的なアウトプットを出していくことを予定している。 「研究実績の概要」で述べた各種文献に基づく調査によれば、同様の問題意識で行われている研究は各国において一定数みられており、その中には有意なアウトプットが出ることにつながりそうなものやそうではなさそうなものもあるが、本研究では、それら研究における知見を十分に踏まえ、有意なアウトプットがでるようなデータ分析が行えるようにしてきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
2021年度(令和3年度)は、COVID-19の流行と研究代表者の入院・療養により、予定した研究を遂行することができなかった。次年度は、COVID-19の状況も踏まえながら、可能であれば計画していた出張も行いつつ、計画していた研究を実施していきたいと考えている。
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