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2019 Fiscal Year Research-status Report

民事ルールに公法上の規定が与える影響に関する研究-旅行契約を素材として

Research Project

Project/Area Number 19K01410
Research InstitutionTohoku University

Principal Investigator

吉永 一行  東北大学, 法学研究科, 教授 (70367944)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2023-03-31
Keywords旅行契約 / 標準約款 / 私法と公法の峻別
Outline of Annual Research Achievements

私法と公法の役割分担という問題意識のもと、旅行契約を取り上げて、研究を進めてきた。研究初年度である今年度は日本国内における公法ルールの調査、2年目は欧州の私法ルールと公法ルールの調査という予定を立てていたが、ドイツ民法における旅行契約をめぐる私法ルールの調査をやや前倒しして進めており、日本国内における公法ルールの調査は文献の収集に着手したところである。
ドイツにおいては、旅行業者の説明義務、旅行業者・旅行者双方の契約解除権と残代金の帰趨、旅行に問題があった場合の旅行業者の責任(損害賠償や解除、代金減額のみならず、代替措置の提供など)について細かな規定がおかれている。そこでは、私法ルールとしても比較的柔軟で政策的な側面ももった規定が置かれている。すなわち、私法(契約法)のルールとしては、伝統的には、契約によって、その締結時に当事者が有していた意思によって債権(履行請求権)の内容が決まり、当事者間ではその債権の履行が行われるか、履行不能や解除などの理由によって消滅するかという枠組がとられていたところ、契約内容の柔軟な変更が予定されているところに特徴があるといえる。
日本において、旅行業者と旅行者の間の関係は、民法で個別類型としての規定は置かれておらず、もっぱら観光庁告示である標準旅行業約款が律するところが大きい。領域としては公法に置かれたこうした規定を、ドイツにおける規定と対比しながら分析することの有用性が明らかになりつつあるところである。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

研究実績の概要で述べたとおり、当初予定とは順番を入れ替えながら進めている。このため、当初初年度に予定していた日本国内における公法ルールの調査は遅れ気味である。観光庁告示である標準旅行業約款の内容及びその成立の過程については、引き続き資料の収集と分析に当たっていくこととする。
しかし2年目に行う予定であった欧州のルールの調査を一部前倒しして実施している。このため、全体としてみたときには、遅れは大きくはない。

Strategy for Future Research Activity

研究実績の概要で述べたとおり、ドイツを中心とした欧米における私法上のルールを一方で研究し、それを日本における標準約款と比較していく。日本における標準約款については情報収集の過程であるが、それを着実に進めていく。
あわせて、本研究では、旅行契約以外には研究を進めることは必ずしも予定していなかったが、日本国内における公法上の規制の諸態様(例えば免許制とするか届出制とするか、行政官庁による介入を予定するか司法・裁判所による介入を予定するかなど)を比較しながら検討することが有用であると考えるに至っている。
旅行契約に関する研究を継続しながらも、他の契約類型における実際のあるいは考えられる規制の内容について、各論的な研究を行なっていくことも検討している。

Causes of Carryover

概ね予算どおりの執行を行なってきた。若干の残額(次年度使用額)が生じることとなったが、次年度分とあわせて資料収集のための費用に充てることで、より充実した研究資料の収集ができるものと考えている。

URL: 

Published: 2021-01-27  

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