2020 Fiscal Year Research-status Report
多様な家族と面会交流制度のあり方ー社会調査に基づき考察する子どもの権利ー
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19K01412
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
高田 恭子 大阪工業大学, 知的財産学部, 准教授 (70569722)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤間 公太 国立社会保障・人口問題研究所, 社会保障応用分析研究部, 第2室長 (60755916)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 面会交流 / 離婚 / 子どもの権利 / 社会調査 / 家族 / 家族法 / ジェンダー / 親権 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は,2019年度に構築したWeb調査を実施し,その分析を拡大研究会にて行い,研究成果の公表として,ワークショップを開催した。 Web調査は,2019年度の検討段階で,予算的限界から全国規模とせずプレ調査として実施することとし,本調査は,本科研研究終了後に展開的プロジェクトとして実施するものとしている。プレ調査となるWeb調査の実施にあたり,ひとり親支援を行う団体による全国協会と大学教員に,子どもと同居するひとり親および子ども経験者の大学生に対して周知をお願いした。2020年10月に1ヵ月間の期間で実施した本Web調査では,離婚・離別から5年以上経過する子どもとの同居親589名,親と離別して5年以上を経過する18歳以上の子ども経験者56名から回答を得ることができた。 拡大研究会には,Web調査構築に協力いただいた家事事件を多く手がける弁護士,DV加害者に関して研究する研究者に加えて,家族社会学者4名に出席していただき,Web調査分析および本調査に向けた課題について議論を行い,実施したWeb調査からわかる実態および今後,さらに明らかにすべき実態と調査を展開する上での課題について議論することができた。 Web調査結果の中間報告を目的として,ジェンダー法学会学術大会ワークショップ「社会の実態とジェンダーの視点から面会交流を再考する-初の全国社会調査の試み-」(企画責任者:高田恭子)を開催した。家族社会学者である神原文子氏,別居親としての経験があり面会交流支援事業および離婚家族支援を行っている志水久夫氏を迎え,当事者のニーズや現場の課題,家族の実態から,法学領域において欠いている視点や検討することができていない課題について指摘を受け,面会交流をターゲットに置きつつ,離婚後の家族支援を法的問題としてどのように捉えるべきかについて議論し,課題のあぶり出しをすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究目的は,英国における面会交流支援の実態調査およびその分析と,日本の面会交流の実態調査およびその分析を考察することで,子どもの権利を実現するための面会交流制度を考察することである。前者については,英国における面会交流支援のあり方として,2019年度に英国の実地調査を行うとともにその分析を行い,その研究成果の社会還元として英国子ども交流センター所長のエリザベス・コー氏をゲストに迎えて公開の研究会を開催し,その研究目的を完了している。後者については,日本の面会交流の実態調査を,当初の全国規模の調査の実施から,プレ調査としての実施に計画を変更して準備を行ってきたが,2020年10月に実施することができた。その回答についても,実績の概要に示した通り,拡大研究会として日本の家族社会学の領域で量的,質的に実態調査研究を行う研究者に参加いただき,大きな示唆を得ることができた。その中間報告として学会におけるワークショップの開催も実現した。2021年度には,その調査報告書を刊行する予定にあり,本研究の目的の多くを達成することができていると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度には,2020年度に実施したWeb調査報告書の完成に向けて作業を行い刊行する。また,本研究後にその成果を展開して実施する全国調査に向けて,本研究で実施したWeb調査の分析結果を考察する。この考察は,秋に開催する予定である拡大研究会において行う。
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Causes of Carryover |
2020年度に送付予定であった報告書の郵送料および謝金として回答者に郵送したクオカードについて受取がなされない分が未執行となったため差額が生じた。本未執行分については,報告書の郵送費および研究成果の公表にかかる経費に使用する。
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