2019 Fiscal Year Research-status Report
企業買収における一般に公正と認められる手続に係る実質的審査のあり方
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19K01413
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
伊藤 吉洋 関西大学, 法学部, 准教授 (50582897)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | MBO / 支配株主 / 締め出し / 株式買取請求 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、企業買収における一般に公正と認められる手続に係る形式的・実質的審査に関連する新たな国内の裁判例・研究者・実務家に係る見解を整理した。特に、今年度6月に「公正なM&Aの在り方に関する指針」が公表されたところ、その指針も当該手続の内容について詳細に記載していることから、その整理を中心的に行った。 また、そもそも当該審査が行われるのは、企業買収の対象となる会社(対象会社)の株主が、当該買収によって取得などされることとなる株式の対価に不満がある場合に、裁判所に対して当該株式の価格決定を申し立てた場合である。そのような申し立てをすることが認められる株主の範囲について平成29年に最高裁が一定の判断をしたところであり、当該最高裁やその評釈などについての整理も行った。特に、企業買収の公表後に対象会社の株式を取得した株主(公表後株主)に申し立てをすることを認めるべきであるかどうかが議論されてきたが、否定説は、当該買収が公表されていた以上、そもそも株式を取得しないこともできたのだから申し立てをすることを認める必要がないことや、認めると投機の弊害などが懸念されるから認めるべきではないことを論拠とするものである。しかし、当該買収に対する規律づけの必要性という観点からすれば認めるべきであること、現時点において投機の弊害などは懸念されないことに鑑みれば、申し立てをすることを認めるべきである、という結論に(一応は)至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、国内の裁判例・研究者・実務家に係る見解の整理を行うことを主たる計画としていたところ、研究実績の概要に記載したとおり、その整理をある程度行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、引き続き国内の裁判例・研究者・実務家に係る見解の整理を行うと共に、アメリカにおける議論の・整理・分析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
本研究に関連する書籍があまり発刊されなかったこと、2月3月の本研究に関連する出張が中止になってしまったことにより次年度使用額が生じたが、来年度は書籍の発刊予定も多いようなので、その購入などに当てる予定である。
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Research Products
(4 results)