2019 Fiscal Year Research-status Report
Verification of the Informed Consent Dialogue Process from the Viewpoint of Restorative Justice
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19K01417
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
中西 淑美 山形大学, 医学部, 准教授 (20420424)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | インフォームド・コンセント(IC) / 修復的正義(RJ) / 協働意思決定(SDM) / 医療メディエーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、原疾患へのインフォームド・コンセント(以下ICと称す)と共に、有害事象発生後ICの内実が重要であることを実証し、ICの認知齟齬の発生要因を動態的に明らかにし、関係の再構築が改善されるための修復的正義(尊重・被害・責任・赦し・協働意思決定)のある相互理解のためのICとは何かを検証することである。 2019年度(前半:文献研究とフィールドワークの準備期間。後半:予備調査と研究開始)は、ICの実態調査として、まず通常の診療行為におけるICについての意思決定について、調査することを実施した。具体的な疾患としては、生命の予後にかかわる治療の意思決定が数年以内に予期されるALSの患者さんと医師の間の意思決定のICを研究対象とした。その準備の為、各々の倫理委員会の許諾と、毎回患者さんと担当医の許諾を得て、そのICや患者支援についての実態調査と面談を実施した。次に 修復的司法(以下RJと称す)の視点として、医療メディエーションについて検討した。その後、細井洋子氏をはじめとするRJ研究者への面談や調査、フィンランド国立健康&福祉研究所教授のトム・エーリク・アーンキル氏とも面談調査した。国際学会(Restorative justice beyond the main stream First Annual RJC Conference Nov.2019)に参加して、視察と文献研究を実施した。本邦でのRJ対話教育研修を受け、RJ対話の上級資格を取得した。後半の予備研究調査は、通常のICについてテキストマイニング分析による対話分析を実施した。予備調査では、ICについての倫理的観点が重要であり、RJ手法としての人を尊重するアプローチとして医療メディエーション概念とRJには共通性が示唆された。次年度は、通常レベルのICの具体的な分析であるALSの患者さんの支援として、対話過程を研究調査する予定である。また、それらの調査から、IC教育の研修・指導・支援での問題への検討に入る予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2019年度(前半:文献研究とフィールドワークの準備期間。後半:予備調査と研究開始)として、通常のICの実態調査として、① 具体的な疾患としては、生命の予後にかかわる治療の意思決定が数年以内に予期されるALSの患者さん3対象者(患者さんと配偶者計6名)の面談調査を進めることできた。また、担当医師との間の信頼関係も構築できた。生命予後に関係する日常診療の意思決定のあるICの対話過程分析の準備もでき、各々の倫理委員会の許諾と患者さんと担当医の許諾を毎回得て、そのICや患者支援についての実態調査と面談を実施して、患者さんと家族からの信頼関係を構築し、予備調査ができた。② 修復的司法(以下RJと称す)RJ研究者への面談や調査、学会(Restorative justice beyond the main stream First Annual RJC Conference Nov.2019)に参加して、英国のヘルスケア領域におけるRJ調査と文献研究を実施できた。また、日本刑事政策研究会に入会し、本邦でのRJ対話教育研修を受け、RJ対話の上級資格を取得した。文献研究も進んだ。本研究に関わる倫理についても執筆をした。学会での発表は、医学教育学会と仲裁ADR学会の2つの学会で発表した。仲裁ADR学会の発表は論文にまとめて公刊予定である。以上の理由から計画以上に進展したと判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、1.2019年度のALSの患者さんのICにおける意思決定の状況などの研究調査を継続して実施したい。 2.修復的司法(RJ)である具体的対話方法論である医療メディエーションにより、下記のことを研究調査したい。つまり、全員尊重し修復的な視点【① 利害関係者の参加 ②包括的で協働的な手続き ③損害とインタレストに焦点をあてる ④原因を明らかにする】の視点から、実際の対話過程の分析検討を重ねる。また、可能なら、医療メディエーションによるいじめ問題やハラスメント問題についての調査を検討したい。 3. 諸外国の調査をふまえ日本的修復的正義のICとは何かを検討のデータ整理分析するため、新型コロナウイルス(COVID-19)感染流行が終息次第、フランス・台湾に調査に行く予定である。第14回国連犯罪防止刑事司法会議に参加予定である。
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