2021 Fiscal Year Research-status Report
Verification of the Informed Consent Dialogue Process from the Viewpoint of Restorative Justice
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19K01417
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
中西 淑美 山形大学, 医学部, 准教授 (20420424)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | インフォームド・コンセント(IC) / 修復的正義(RJ) / 協働意思決定(SDM) / 医療メディエーション |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度(2021年度)は、新型コロナウイルス(SARS-CoV2)のパンデミックにより、世界的な社会状況の変化は継続し、県外・国外共に、学会発表は制限され、諸外国や関係者への調査研究はできなかった。しかし、2020年に達成できなかった計画についてオンライン等も活用して、感染防御に努めながら、可能な範囲で下記の研究調査を遂行した。研究対象の方々の同意については注意深く毎回確認して倫理的配慮を行いながら、実施した。 1.当事者支援のインフォームド・コンセント(IC)については、実際の通常のICのナラティヴ展開と医療メディエーションの検討として、逐語録や質問紙票等の研究調査を実施し、テキストマイニングとナラティヴ分析で、査読のある英語論文を公刊できた。 2.AD(事前指示)、ACP(事前ケア計画)の臨床倫理面での検討として、膵尾部癌Stage4の症例の身寄りのない人についての倫理指針について、Jonsenの4つの分析手法【医学的適応(善行と無危害の原則),患者の意向(自立性尊重の原則),周囲の状況 (忠実義務と公正の原則),QOL(善行と無危害と自律性尊重の原理)】で検討することができた。今後、論文にまとめる予定である。 3.刑事司法では、Social inclusion(社会包摂)に関する各国の取り組みを知ることができた。民事では、本研究もその一つである国際調停が、もっと社会福祉との協働を考えるべきであると学び、加害者と被害者の共感認識、医師の説明における共感について検討した。 4.修復的司法(RJ)である具体的対話方法論である医療メディエーションの有用性について、いじめやハラスメントの修復的司法に基づく医療メディエーションの実践や予期せぬ有害事象の失明患者への対応について研究調査した。この研究調査については、2022年度に開催される国内外の学会で発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス(SARS-CoV2)感染の社会状況の影響のため、緊急事態宣言や人的交流が阻害されており、移動や研究の時間も研究調査も大幅に制限された。 しかし、研究調査・分析・検討は、少しずつであるが進捗している。例えば、概要に述べたように、4項目について、同意を得た患者さんと家族、医療職、各人との意思決定支援や医療介入についての対話の場に立ち合い、可能な範囲で研究調査を継続し、公刊論文もまとめている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度(2022年度)は、患者・家族と医療者、医療者間など多様性を認めて、双方に信頼された第三者を交えた相互支援の場を提供することに努めたい。これまでの研究調査や昨年の研究データ等を、①日本医学教育学会、②医療マネジメント学会、③European Forum for Restorative Justice, http://www.euforumrj.org、④XIth Conference World Mediation Forum, https://www.wmf-fmm.org/11th-conference/ の4つの学会で発表予定である。 修復的な当事者支援の方策として、より良い相互理解、協働意思決定として和解し合意できることについて探求していき、論文としていくつかまとめたい。
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Causes of Carryover |
2019年よりSARS-CoV2のパンデミック感染症拡大と反復的な流行による社会状況があり、世界的な交通網と物流の遮断、国際的な水際対策等の感染隔離政策があったため。また、そのことにより、学会中止や人流の遮断が相次ぎ、県外・国外共に学会発表や諸外国の調査研究はできなかったため。 2022年の今年度は国内外の調査や国際学会参加への費用、論文作成、公刊費用として全額研究活動費に使用する予定である。
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