2022 Fiscal Year Research-status Report
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19K01419
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
稲葉 実香 金沢大学, 法学系, 准教授 (00402941)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 生命倫理 / 生殖補助医療 / リプロダクティヴ・ライツ / 安楽死 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は可能であれば9月にフランス調査に行きたいと思っていたが、コロナ禍と学務の関係でそれが叶わなかったため、引き続き日本の生命倫理をめぐる問題を中心に、国内でできる研究を行った。 2020年に成立した生殖補助医療法につき、その制定経緯を調査し、これまでの生殖補助医療の立法化の動きとあわせ、「日本の生殖補助医療法の立法過程――専門家の軽視と国民的議論の不在」を執筆し、金沢法学66巻1号に掲載予定である。なおこの内容は、2023年2月に東京で開催された第14回日仏公法セミナー(XIVeme Seminaire Franco-Japonais de Droit Public)において、"La legislation sur l’assistance medicale de procreation au Japon - Negligence des avis des experts et absence de debat public"と題して報告を行った。さらに、このセミナーにおいてはフランスの生命倫理分野におけるConventionの役割に大いに示唆を受けた。 2021年度に医事法学会で報告した安楽死の問題につき、各国法制の医師の良心条項について加筆した上で、2022年9月発行の年報医事法学37号に「安楽死要件を再考する――比較法の観点から」として掲載された。 さらに、旧優生保護法下での強制不妊手術をめぐる一連の判例について研究を進めており、近く論文にまとめる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍、および学内事情(法科大学院認証評価)により渡仏の時間が捻出できなかったことで、本来の課題であるフランスの生命倫理立法の調査・研究については大幅な遅れが出ている。フランスの生命倫理法制における生命倫理国民会議(Etat generaux de la bioethique)や市民会議(Convention)の役割については、生命倫理諮問委員会(CCNE)での情報収集やインタビューが不可欠であり、本来の研究計画が進められていない。 その代わり、計画段階では予想しなかった日本の生命倫理立法が実現し、判例でもリプロダクティヴ・ライツが承認されるようになり、こちらをメインに研究することで、最新の状況を把握してフランスとの比較対象の基礎を固めることができ、本課題を含む大きな研究計画としては、順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はフランス調査が実施できる見込みであるので、フランスの研究者との意見交換、CCNEでのインタビュー、文献収集を行い、本来の研究課題を進める予定である。ただし、調査の時期にもよるが、今年度中に論文完成まで進めることは非常に難しいので、課題の継続も考えている。 これと並行して、日本での生命倫理分野の法制化や判例の動きについての研究も進め、論文を発表する予定である。
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Causes of Carryover |
計画していたフランス調査ができなかったため、旅費および現地で購入予定であった書籍冷や資料のコピー代等が余った。 2023年度は、当初の予定では渡仏予定はなかったが、3年間延期していたフランス調査を行う予定である。また、国内学会もリアル開催が復活しており、積極的に参加する定である。 本来は今年度フランス人研究者を招いての研究会開催を予定していたが、これも長く渡仏できなかった結果として年度内に開催するのは難しい。これに代わり、日本国内の状況について研究を進め、国内の研究者と交流を重ねてきた成果として、国内の生命倫理法制の状況についての意見交換をする研究会を開催できればと考えている。
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Research Products
(3 results)