2019 Fiscal Year Research-status Report
Cross-sectional study on legal issues of using blockchain technology in content distribution
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19K01425
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Research Institution | Dokkyo University |
Principal Investigator |
張 睿暎 獨協大学, 法学部, 教授 (80434231)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ブロックチェーン / 著作権管理 / 権利情報 / コンテンツ流通 / 利用許諾 |
Outline of Annual Research Achievements |
デジタルコンテンツ流通に関しては、①著作権証明や取引履歴の追跡が難しいこと、②海賊版問題が深刻であること、③コンテンツ利用の権利処理が煩雑であること、④使用料徴収や対価還元が複雑で不透明という問題があり、これらはブロックチェーン技術により解決できる可能性がある。ただ、新技術であるだけに、活用の際にどのような法的課題があるか、それら課題にどのように対応すべきかはまだ明らかでなく、それについて検討している知的財産法の観点からの学術研究は存在しない状況である。本研究は、i)権利証明、ii)海賊版検知、iii)ライセンスの前提となる権利情報DBの構築、iv)コンテンツ利用許諾と使用料の徴収・配分という4つの場面を想定し、諸外国におけるブロックチェーン技術のコンテンツ分野における活用状況および法的課題や立法状況を横断的に検討することで、日本のコンテンツ流通の円滑化に一定の示唆を提供しようとするものである。 初年度はシンガポールおよび米国を訪問し、研究調査を実施した。当該国での現地調査の結果、とりわけシンガポールおよび米国におけるi)権利証明、ii)海賊版検知、iii)権利情報DBの構築、iv)コンテンツ利用許諾と使用料の徴収・配分という4つの場面におけるブロックチェーン技術の活用可能性と、その際の法的課題の概要を把握することができた。 現地調査内容に文献調査内容を合わせた中間結果は、学会研究発表(「コンテンツ利用におけるブロックチェーン技術活用の法的課題」)および紀要論文(「産業財産権分野におけるブロックチェーン技術の活用可能性と課題」)として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年7月のシンガポール調査においては、ブロックチェーン関するセミナーに参加し、当技術の最新動向に触れることができた。また、シンガポール国立大学およびシンガポール工科大学に訪問し、ブロックチェーン技術や知的財産権法法制の動向について情報を入手することができた。 2019年8月の米国調査においては、知的財産に関する学術コンファレンスであるATRIP Congress 2019 Nashvilleに参加し、ブロックチェーン技術だけでなく、コンテンツ流通に関する最新動向に触れることができた。更に知的財産一般に関する学術的議論にも参加でき、来年度に向けて欧米の研究者との研究ネットワークづくりもできた。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度も2回の海外調査を予定しているが、新型コロナウィルスに影響により世界的な渡航禁止になっているため、すくなくとも夏までには海外調査ができないと思われる。 そのため、インターネット等を活用した文献調査に集中し、秋以降の海外調査に向けての事前準備をしっかり行う予定である。
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Causes of Carryover |
海外調査の際の航空券を格安で購入できたため、旅費を抑えることができた。残額は次年度の海外現地調査の旅費に当て、直行便や到着時間の早い航空便の購入など、効率によい現地調査の実施に利用する予定である。
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