2019 Fiscal Year Research-status Report
Contemporary development of art works copyright
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19K01428
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
佐藤 恵太 中央大学, 法務研究科, 教授 (60205911)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 著作物 / 著作権 / 美術の著作物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、美術作品の著作権制度のIT技術への対応をテーマとしており、本年度は、主として、EUにおいて2019年4月に制定された「デジタル単一市場における著作権指令」(DSM著作権指令)の分析と日本への影響評価を中心に作業を進めた。同指令は、必ずしも美術作品に特化されたものではないが、youtube等のプラットフォーム・サイトへの著作物のデジタル配信について、著作権利用料の適正分配を目指す制度であり、著作物全分野に大きな影響を与える制度といえるし、アメリカ合衆国にも同様の制度が必要との意見が高まりつつあるため、国際的方向性として無視し得ないものと考えられる。そのため、深掘りする必要があった。研究成果は、学会報告3件であり、なかでも、2019年12月に開催された日本国際著作権法学会(国際著作権法協会ALAI日本支部)研究大会(年次大会に相当する)におけるシンポジウム「EUデジタル単一市場著作権指令の成立」を企画実施し、自ら司会と総論報告を担当して好評を得た。シンポジウムの記録は、同学会誌に公表される予定(コロナ禍で出版が遅れている)。 また、インスタレーション展示の実作やアート作品展示の実際の調査を開始した。今のところ問題点は多く発見されているわけではないが、会場の特性を生かした展示をまねて別の会場に再現しようとした侵害者に対して、侵害認定をする際にどこまで会場特性を考慮できるのか、という点について、いくつかの展覧会をヒントに分析を開始している。さらに、本研究開始当初の問題意識に、美術の著作物というカテゴリ分けが真に重要なのかという点が含まれているが、この点での理論的検討は進展させることができ、成果の一端を公表に向けて準備している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現代美術作品についての研究会開催が実現できなかった。自らが企画実施した学会シンポジウムが12月に開催されたため、それ以前の期間を準備に充てる必要が生じ、またそれ以降の期間についてはコロナ禍の影響もあり実現を見送ったためである。そのため、現代美術作品ではやや遅れが生じている。しかし他方で、並行して、著作物の配信をめぐり、料理の著作物性と調理方法等について資料収集をすすめることとし、こちらは順調に進んでいる。その意味で、一部遅れ、一部は大きく進捗ということとなり、トータルとしては順調ということとなる。
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Strategy for Future Research Activity |
当面は、文献資料の収集に重点をおくこととして、文献分析の結果を公表することを目指す。また、研究会開催について、web会議システムを用いたリモート開催をすることによって、検討を深めていくこととしたい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で研究会開催を見送ったことが主たる理由である。研究会開催と海外調査の費用に充てる予定である。
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