2019 Fiscal Year Research-status Report
サイバー空間における違法又は有害情報による被害の阻止とファクトチェック体制の整備
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19K01436
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
金 尚均 龍谷大学, 法学部, 教授 (00274150)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | インターネット / 発信者情報 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年に「障害者差別解消法」「ヘイトスピーチ解消法」「部落差別解消法」のいわゆる差別解消3法が施行された。これらの法律には、いずれもヘイトスピーチ等の有害な情報の禁止及び刑罰規定はない、いわゆる理念法である。これに対して、国連人種差別撤廃委員会(2018年)から処罰規定の制定を勧告されている。そこで、理念法である国法を根拠にして、苦肉の次善策としていくつかの自治体が独自にモニタリングを実施するに至り(約16自治体)、有害な差別表現を発見した場合にプロバイダ等に削除要請している。この実態について、モニタリング実施日数、時間数、担当者の身分及び人数、発見件数、削除要請と削除件数(量的調査)及び担当者に対するインタビュー(質的調査)を実施した。これと並行して、法的見地から、行政機関によるモニタリングの「検閲」問題を検討した。 また、ドイツにおけるダークネット規制についても比較法研究として実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下の論文等を公表でき、順調に当初の研究目的を遂行できていると認識する。 『インターネットとヘイトスピーチ』(現代人文社、2019年) 「ドイツにおける反差別法制」(部落解放研究211号、2019年、p.15~30) 「意見書 : 法規制の根拠としての法益侵害・危険とその埒外にある不快」(判例時報2392号、2019年、p.123~126) 「インターネット上の差別と法規制」(東京部落解放研究所紀要51号、2019年、 p.2~17)
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Strategy for Future Research Activity |
ネット空間での表現活動の自由と削除による自由の喪失、他方で情報残存による被害拡大と継続、削除による被害回避という対抗する利益と損害を衡量して、表現の自由の境界、SNS事業者のコンプライアンス(発信者氏名等の情報開示を含む)と私人による削除の合理性の有無の検討を目的とする。実態調査の結果を基礎として憲法、行政法そして刑法の横断的な連関を検討する。これを通じて合憲的かつ被害の拡大と継続を防ぐ刑事政策に即した、法際的連関性のある対策を提唱する。
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Causes of Carryover |
昨年度の研究活動においてドイツ出張で多くの資料並び研究者との意見交換ができ、その差にいた文献の閲覧・検討並び知見の検討に多くの時間を要した。そのため0よりも大きくなる結果となった。今年度については、昨年度得た知見を客観化する作業を予定しており、コンピュータの購入ならび国内並び海外での出張を多数予定している。
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Research Products
(4 results)