2020 Fiscal Year Research-status Report
マルチレベルの政治制度が政党政治に及ぼす影響に関する包括的比較研究
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19K01444
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
建林 正彦 京都大学, 公共政策連携研究部, 教授 (30288790)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 政党政治 / 二院制 / 参議院 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、マルチレベルの政治制度の組み合わせが、各国の政党政治にいかなる影響を及ぼすのかを明らかにすることである。政治制度と政党政治の関係は、政治学においては古典的な課題というべきだが、従来の研究ではマルチレベルの政治アリーナという観点が十分に取り込まれてこなかったと思われる。マルチレベルの政治アリーナとは、多くの民主主義国家で、同じ政治アクターが、地方政府、中央政府、超国家レベル(EU等)という多層的な複数のアリーナで競い合うことを意味しているが、政党をはじめとする政治アクターはその結果、様々な政治制度の組み合わせの影響を受けることになる。またマルチレベルの制度 ミックスの観点からは、単一のアリーナ内の二院制や混合制の選挙制度の問題についても、従来とは異なる新たなアプローチにもとづく再検討が求められることになったと思われる。 こうした観点から2019年には二院制の問題に注目し、日本の参議院議員が独自の選挙制度の下で、利益表出を行おうとすること、その結果政党組織や政党システムを特徴づけていたのではないかという仮説を検証するために、自民党政務調査会部会の所属状況をデータ化した。すでに衆議院議員についてはデータセットが存在するために、それをもとに参議院議員のデータを加え、さらに初期的な記述統計を中心にした分析を行った。その結果、参議院地方区選出の議員、参議院全国区選出の議員は、衆議院議員とは異なる独自の政策関心を持つことが示されたが、2020年にはこれを論文に取りまとめ、公表した。また引き続き、選挙区レベルに対象を転じ、参議院議員の利益表出行動を分析し、2021年に予定されている学会報告へ向けて分析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた各国の比較分析については着手できていないものの、日本の参議院に注目し、自民党政務調査会部会所属データを入力でき、一定の分析結果、研究成果を得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
日本の参議院研究については興味深いデータセットを作成することができ、全体としての議員行動分析に加えて選挙区レベルにおける衆議院議員との関係などの分析等、新たな分析を試みることができたので、今後は二院制のもたらす政党内部組織への効果について、メカニズムに関わる分析を行いたい。またそれを踏まえて二院制が政党政治にもたらす帰結について、比較分析に着手したい。
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Causes of Carryover |
今年度はコロナウィルスの問題もあり、参加を予定していた研究学会等がオンライン化されたため、旅費が使用できなかったが、来年度に追加的に実施の予定である。
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Research Products
(1 results)