2023 Fiscal Year Annual Research Report
町村議会議長会未公開資料群データインフラストラクチャーの構築と研究
Project/Area Number |
19K01447
|
Research Institution | University of Niigata Prefecture |
Principal Investigator |
田口 一博 新潟県立大学, 国際地域学部, 准教授 (20376411)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 地方議会 / 都道府県域議長会 / 議員のなり手 / 公文書 / インタビュー / オーラル・ヒストリー |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度に入り、ようやく新型コロナウイルス感染症対策が終了したが、研究計画策定時のとおり研究を実施することは困難なので、これまでの研究で明らかにし「得なかった」事項について調査を行い、23年9月開催の日本政治学会研究大会において「議員のなり手問題対応のための政治過程「議員立法」による2つの地方自治法改正の効果と限界」と題する自由論題報告を行い、5年間の研究のまとめとした。 本研究では都道府県域町村議会議長会の活動を事務局所蔵の未公開資料を用いて明らかにすること目的としてきた。2019年度までの原資料探索で議長会長の秘書記録がほとんどないことがわかったが、コロナ明けをまって、それを補完するための関係者へのインタビューを行った。研究期間中に極めて町村議会特有の問題である議員のなり手不足対策としての地方制度調査と地方自治法の改正が行われたため、その関係者に当時の経過等を聞くものである。地方議会制度検討のきっかけとなったプロジェクトチームの責任者、佐藤信秋参議院議員からはじめ、最初の座長であった坂本哲志衆議院議員、問題の発議者の一人、全国町村議会議長会長だった南雲正湯沢町議会議長、町村議会の問題を都市議会としても応援した前・全国市議会議長会長清水富雄前横浜市会議長、国会野党側の政策責任者逢坂誠二衆議院議員から、それぞれ記録文書や公表文書にはない経過等を聞き取り生の映像と音声で記録することができた。 とはいえ、研究で明らかになったことは、交渉等の経過は当事者以外が利用可能な史料としては一般の公文書同様に残らない、そもそも作成されいても、公文書とはされないということであり、断簡が残るGHQ/SCAP文書のような研究は不可能である、ということである。近年、政策決定の場である国会自身が正副議長経験者のオーラル・ヒストリーづくりを始めていることが象徴的なことである。
|