2019 Fiscal Year Research-status Report
The Policy Consequences of Fixed-term Parliaments: Election Timings and Political Business Cycles in Japan
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19K01449
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Research Institution | University of Kochi |
Principal Investigator |
清水 直樹 高知県立大学, 文化学部, 准教授 (20508725)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 政治的景気循環 / 選挙タイミング / 解散権 / 選挙制度 / 中央銀行制度 / 早期解散 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、内閣による議会解散権の制約がどのような政策的帰結をもたらすのかを明らかにすることである。具体的には、①政権党が自らに有利な状況で解散権を行使することによって利益を得ているのかを明らかにする。②解散権の制約、すなわち選挙の時期が固定化されている場合、どのような制度的条件の下で、選挙時に政権党による拡張的なマクロ経済政策の実施が行われるかを明らかにする。 平成31年度(令和元年度)は、①を解明するため、データセットの作成、分析を行い、どのような選挙タイミングが政権党にとって利益をもたらすのかについて検討した。検討の結果、早期解散がただちに政権党に利益をもたらすわけではなく、早期解散かつ高い経済実績の場合、政権党の候補者に対して得票の増加をもたらすことを明らかにした。この研究成果を「選挙に良い結果を与えるのは経済状況か支持率か」としてまとめて、2019年7月に開催された日本選挙学会で発表した。またその内容をブラッシュアップしたものを"The Effect of Election Timing on Electoral Performance"としてまとめて、9月に開催されたEuropean Consortium for Political Research 2019 General Conferenceで発表した。 次に、②の点を解明するため、中央銀行の独立性が選挙時の金融緩和政策に与える影響について検討した。検討した結果、選挙の時期が固定されており、かつ中央銀行の独立性が低い場合、選挙時に金融緩和政策が実施されることを明らかにした。この成果を「政治的貨幣循環による日本銀行の独立性の検証」として論文にまとめて、2020年3月に発行された『政策科学』に掲載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書の計画どおりに進めることができている。研究実績の概要で述べたとおり、①②について、研究成果を学会発表し、論文としてまとめて発表している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は、①の学会で発表した内容をさらにブラッシュアップし、論文としてまとめて、日本語、または英文の学術雑誌に投稿する。 加えて②について、どのような選挙制度が選挙時の財政拡張政策をもたらしやすいのかを検討する。そして、その検討結果を論文にまとめて、日本語、または英文の学術雑誌に投稿する。 さらには、可能であれば、研究成果全体のまとめを行い、その研究成果として1冊の書籍にまとめて出版する作業を進めたい。
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Causes of Carryover |
平成31年度(令和元年度)は、英文ジャーナルへの投稿費用とそれにともなう英文校正費用を計上していたが、学会発表しかできなかったため、次年度使用額が生じた。この次年度使用額は、英文ジャーナルへの投稿費用とそれにともなう英文校正費用として使用したい。
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