2020 Fiscal Year Research-status Report
The Policy Consequences of Fixed-term Parliaments: Election Timings and Political Business Cycles in Japan
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19K01449
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Research Institution | University of Kochi |
Principal Investigator |
清水 直樹 高知県立大学, 文化学部, 准教授 (20508725)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 政治的景気循環 / 選挙タイミング / 解散権 / 早期選挙 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、内閣による議会解散権の制約がどのような政策的帰結をもたらすのかを明らかにすることである。具体的には、①政権党が自らに有利な状況で解散権を行使することによって利益を得ているのかを明らかにする。②解散権の制約、すなわち選挙の時期が固定化されている場合、どのような制度的条件の下で、選挙時に政権党による拡張的なマクロ経済政策の実施が行われるかを明らかにする。令和2年度は、①を解明するため、民主主義と独裁の国を含めた国際比較による分析を行い、どのような選挙タイミングが政権党にとって利益をもたらすのかについて検討した。分析の結果、自由民主主義では、前回選挙から任期の3割から6割を経過した早期選挙の場合、得票率に正の効果が、前回選挙から任期の3割から9割を経過した早期選挙の場合、議席率に正の効果があることを明らかにした。この研究成果は、「選挙タイミングの変更による現政権の利益:民主制と独裁制の比較分析」としてまとめて、2020年9月に開催された日本政治学会で発表した。 また、選挙タイミングに関する先行研究では、政権党の有利な状況の1つとして、景気が良い時期が挙げられてきた。つまり、好景気での選挙の場合、政権党に良い選挙結果がもたらされることが先行研究における分析の前提とされてきた。しかしながら、先行研究でそれが十分に実証されてきたわけではなかった。そこで、日本の都道府県の経済データと、2012年、2014年、2017年の衆議院選挙の結果を用いて、経済が選挙結果に影響を与えるのかを分析した。分析の結果、経済が選挙結果に与える影響はかなり限定されたものであることが明らかになった。この研究成果は、「経済は選挙結果に影響を与えるのか:都道府県の経済状況と安倍内閣下の衆議院選挙結果の分析」として論文にまとめて、2020年12月に発行された『選挙研究』36巻2号に掲載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書の計画どおりに進めることができている。研究実績の概要で述べたとおり、①については、研究成果を学会発表、あるいは論文として発表している。また②についても、令和2年度に公表のための準備を進めており、令和3年度の発表を目指している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は、①の学会で発表した内容をさらにブラッシュアップし、論文としてまとめて、英文の学術雑誌に投稿する。また、②については、どのような選挙制度が選挙時の財政拡張政策をもたらしやすいのかを検討する。そして、その検討結果を論文にまとめて、日本語、または 英文の学術雑誌に投稿する。さらに可能であれば、研究成果全体のまとめを行い、その研究成果として1冊の書籍にまとめて出版する作業を進めたい。
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Causes of Carryover |
令和2年度は、国際学会に参加するための旅費、および参加費を計上していたが、国際学会がコロナ禍の影響で1年延期となったため、次年度使用額が生じた。この次年度使用額は、今年度のほぼ全ての学会でオンライン開催となるため、旅費に使用することは難しい。よって、英文校正費用など、論文執筆のための費用として使用したい。
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Research Products
(2 results)