2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K01450
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
小泉 和重 熊本県立大学, 総合管理学部, 教授 (80275461)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 市町村合併 / 小規模自治体 / 過疎財政 / 山村財政 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度の研究実績は次のとおりである。1)人口4000人未満の自治体を合併町村と非合併町村に分類し、1995年から2015年までの人口、高齢化率、就業構造・地価等の社会、経済的な変化を分析した。2)小規模非合併町村を対象に、経常収支比率、財政力指数、実質公債費比率等の財政指標の変化、歳出規模、地方債残高、積立金残高、職員数の変化を分析した。3)合併町村の財政計画と実際の決算を比較して、合併後の財政運営について分析した(資料の一部は国立国会図書館を活用して収集した)。 これらの分析を通じて、平成合併後、1)小規模非合併町村の人口減少率、高齢化率の変化は、合併町村と比較して相対的に低いこと、2)小規模非合併町村の財政状況は、財政指標の点からみても、地方債残高や積立金残高と言った財政ストックの面から見ても改善していることがわかった。3)小規模町村を編入した合併市の場合、通説では自治体規模が拡大することで財政の効率化が図れると言われているが、実際には、広域的な財政需要(消防や支所の設置)に対応するため経費の節減が困難で、期待された効果は発揮できていない自治体も見られたことがわかった。 また、当年度ではこれらの財政統計上の分析を踏まえ、いくつかの小規模自治体のケーススタディ調査を予定していたが、新型コロナウイルスの全国的な蔓延の影響で、ヒアリング調査ができなかったため、中断している。 上記の研究と関連する業績としては次の論文を昨年度発表している。小泉和重(2020)「旧町村で加速した人口減少と高齢化―平成合併の検証」『自治実務セミナー』第一法規、通巻692号(査読なし、単著)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年度は小規模自治体の平成合併前後の社会経済的な変化、財政的な変化について分析にを行ってきた。しかし、昨年度2月から予定してた自治体へのヒアリング調査とケーススタディ分析については新型コロナの影響で全く見通しが立っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度前期に予定していたヒアリング調査は新型コロナが終息までしばらく休止し、後期から再開する。そこで、前年度、不十分であった財政統計の分析をさらに進める予定である。また、最近の「圏域マネジメント」の議論を視野に入れ、小規模自治体の県との行財政関係について検討する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で、ヒアリング調査がとん挫した。今年度、後期から再度、ヒアリング対象自治体への調査を行う予定である。旅費の残額はそのために支出する予定である。また、物品費について、過疎自治体財政や町村合併関連図書の収集やUSBなどの文具具の購入に支出する予定である。
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Research Products
(1 results)