2022 Fiscal Year Research-status Report
Political Economy of Human Capital Formation in South Korea
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19K01451
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
磯崎 典世 学習院大学, 法学部, 教授 (30272470)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 人的資本形成 / 韓国 / 東アジア / 労働 / 教育 / 脱植民地 / 経済開発 / 民主化と政権交代 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、韓国の急速な経済発展の要因として人的資本形成に注目し、非欧米的な発展パターンをとった過程を検討することにある。人的資本形成の要となる学校教育の拡大等が経済・雇用政策との関連でどう展開したのかに着目する。そのうえで、高度経済成長期に有効だったそれらの制度が機能不全となった現状と、それを改革する政治課題の成果を出せない原因の解明を重視する。 2019年度は、韓国の学校教育拡大が公的負担の少ない形態でなされた過程を検討し、仮説や実証の目処をつけたが、その後、新型コロナ禍で現地調査が困難になり、計画を修正した。2020年度は、日本の植民地に導入された近代教育制度が脱植民地・建国の過程でいかに再編され、人的資本形成の初期制度がどう構築されたかを検討した。2021年度は、前年度の成果を建国期の政治体制研究として刊行し、他方で資料アクセスが可能な近年の制度改革問題に焦点をあてて研究を進めた。文在寅政権が、保守政権の社会経済政策を転換して「人への投資」等を重視したものの挫折した過程の解明である。こうして資料アクセスの制約に対応して計画を修正し、3年計画であった研究期間も延長した。 2022年度は、文在寅政権期の改革挫折の要因を解明した査読論文を、日本貿易振興会アジア経済研究所から公刊し、そうした「改革」の阻害要因となっている党派対立や社会の分極化の解明に取り組んだ。オンラインでサーベイ調査を実施し、結果の一部をSONG Jaehyun 関西大学准教授と共著でペーパーを執筆し、日本政治学会研究大会で報告した。 以上のように、現地調査ができずアクセスできる資料に制約が生じたため、当初の研究計画からの修正を余儀なくされたが、2022年度は文在寅政権期の改革挫折から人的資本形成の阻害要因の背景にある政治の構造変化に着目し、オンライン調査など研究方法を変更して課題の遂行に努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウィルスの拡大で、韓国での調査・資料収集が実施できないなど予定通りに研究を進めるのが困難となり、当初の計画を修正せざるを得なくなった。2022年度は,現地調査の代わりにオンライン調査を実施して、査読論文や学会報告などの成果をあげることができたが、結果をまとめるまでに至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルス感染拡大に対応して、研究の焦点をあてる時期や資料収集方法を修正し、オンライン調査を導入するなど計画を修正して推進してきたが、これまでの調査研究をもとに、2023年度を最終年度として成果をまとめる予定である。2019年度および2022年度の学会報告で有益なコメントも得ており、それらを生かして成果を論文にまとめることに努める。
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Causes of Carryover |
2022年度も新型コロナウィルス拡大の影響で現地調査が実施できず、オンライン調査導入など計画を修正して推進してきたが、旅費や人件費はさほど発生せず、研究成果のまとめるまでに至らなかったため、次年度使用に繰り越すこととなった。 2023年度は研究の最終年度として、これまでの研究成果をまとめ、論文の完成および投稿に必要な費用として、研究費を使用する予定である。
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Research Products
(2 results)