2019 Fiscal Year Research-status Report
日本とASEAN諸国における大災害後の公共インフラの再建・整備に関する調達行政
Project/Area Number |
19K01455
|
Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
坂根 徹 法政大学, 法学部, 教授 (30567491)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 東日本大震災 / 公共インフラ / 岩手県 / 出先機関 / 調達行政 / ベトナム / 少数民族 / 災害脆弱性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の初年度にあたる今年度は、先ず、日本についての研究成果を、「東日本大震災後の公共インフラの再建・整備における岩手県沿岸出先機関の調達行政」と題する論文に取りまとめ、陸前高田市で開催された第20回国際開発学会春季大会で報告した。この中では、陸前高田市を含む沿岸の被災基礎自治体だけでなく岩手県の出先機関も、組織的・人的対応の工夫及び調達実施上の工夫を行いつつ、様々な被災・公共インフラの再建・整備を実施してきたことが確認できた。これらの調達行政に関する対応・工夫の多くは、東日本大震災に限られる特殊なものではなく、国内外の将来の大震災における公共インフラの再建・整備でも重要なものと考えられる。 次に、ASEAN諸国の中でも日本にとって特に重要な近隣国であるベトナムについての研究成果を、「ベトナム少数民族地域の災害脆弱性に対する関係機関の役割と課題」と題する論文に取りまとめ、国際開発学会と人間の安全保障学会の2019共催大会として実施された第30回国際開発学会全国大会で報告した。この中では、ベトナムの少数民族地域は、公共インフラの整備をはじめとして相対的に発展が遅れている傾向があり、また、山岳地帯にも多く存在しているため、特に豪雨による地滑りや鉄砲水による災害が多く発生し、人命・財産・公共インフラ・社会経済等に対する大きなリスクともなっていることを述べた。その上で、少数民族委員会等のベトナム政府機関による持続可能な発展への防災対策の重視や、JICAを含む同分野への支援及び日本の防災教育・啓発や中山間地域での豪雨による地滑りや鉄砲水への技術と経験の活用などの重要性を指摘した。 更に、上記のベトナムに関する発表を基礎として、日本やベトナムの地方での防災対策を充実させた論考を、同国ゲアン省で開催されたベトナム・ラオス民族ワークショップに依頼を受けて寄稿し、その成果物に収録された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、本研究課題の初年度ではあったが、これまでの自身の研究も生かしつつ、今年度に実施した研究・分析を取りまとめ、研究実績の概要に示したような幾つかの研究発表が実現し、また、次年度の一部研究発表に向けた準備等もある程度進めることができたため(その結果、今年度予算は全て執行済となった)。
|
Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス問題の発生とその影響の拡大という、当初想定できなかった状況となっており、本研究もその影響を受けていることを踏まえて、本研究の推進にとって不可欠な国内外での調査研究等を可能な限り継続すべく、時々の状況に応じて柔軟かつ臨機応変に対応していく。
|