2020 Fiscal Year Research-status Report
Developing "Electoral-Professional Party" Concept: Analysis of Party Function in East-Central Europe
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19K01457
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
中田 瑞穂 明治学院大学, 国際学部, 教授 (70386506)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 選挙プロフェッショナル政党 / 東中欧 / 政党類型 / 選挙マーケティング |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、選挙プロフェッショナル政党の進出がもたらす政党システムの変容とその民主主義に与える影響について、東中欧のケーススタディーから理論的考察につなげる研究を3点発表した。第一はEUの民主主義観と比較しつつ、東中欧諸国にみられるようになった民主主義観の特質を明らかにするもので、スラブ・ユーラシア研究報告集にて論文として発表した。第二は、同様にEUからの視点を東中欧諸国の特質の解明に生かす研究であるが、焦点を法の支配に変えたもので、日本政治学会にて報告を行った。これらの研究によって、選挙プロフェッショナル政党を含む新しいタイプの政党の進出は民主的に支持されたものであり、国内の一定の論者からは民主的とみなされているが、EUが重視する憲法裁判所の自立やマイノリティ、難民の人権の尊重という目的とは相反する政策を指向することが明らかとなった。第三に、これらの知見に基づき、法の支配と民主主義の関係を理論的に考察し、新しいタイプの政党の登場によってもたらされる政党間競合構造は代議制民主主義に不可欠な多元性を論理的に含まない可能性を考察した論文をまとめた。 これらの一連の研究によって、選挙プロフェッショナル政党の特質の中でも、政党間競合構造の変革につながる部分に注目する必要があることを明らかにすることができた。 同時に昨年度に引き続き、チェコの政党「ANO」の実証研究を進め、主に本政党の目的や選挙戦略について文献調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
理論的な枠組み形成については、ほぼ予定通り進んでいる。学会報告や論文の公刊も実施することができた。さらに、学会報告を基にした論文についても、2021年度中の出版が見通せる状況にある。 しかし、新型コロナウイルスの影響により、国外での資料収集や現地調査を行うことができなかった。2020年度は前期がサバティカルであり、そこで十分調査期間を持てる予定だったが、その時期に動くことができないままサバティカルが終了してしまい痛手であった。その分理論的な研究に注力することができ、成果もあげることができたのはプラスだが、実証部分がどうしても遅れてしまっている。入手できた文献やインターネット上での情報収集に努めたが、限界もあった。
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Strategy for Future Research Activity |
ポーランドとハンガリーを中心に政党資料収集を実施する計画である。また、先行研究のアップデイトのための新刊書の購入を行う予定である。 2021年度は、現地出張によって、政党当局者、政党研究者、政党のマーケティング戦略研究者へのインタビューを試みることを計画している。 理論面について分析もさらに進める計画であり、選挙プロフェッショナル政党の近年の新しい携帯であるビジネス企業政党について論文執筆を予定しているほか、政党類型研究の一環としてクライエンテリズム政党の研究に関しても比較政治学会の共通論題パネルに参画する予定である。
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Causes of Carryover |
予定していた現地調査が、新型コロナウィルスの流行により、実施できなかった。2021年度に現地調査を実施する予定である。
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