2019 Fiscal Year Research-status Report
A Study on the Secretariat Organization in Japanese Municipalities - the Picture and Function of Finance Section in Japanese Prefectural Governments =
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19K01460
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Research Institution | Kyoto Tachibana University |
Principal Investigator |
竹内 直人 京都橘大学, 現代ビジネス学部, 教授 (60803939)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 望 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 教授 (70404952)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 状況定義 / 測定可能性 / 本人・代理人関係 / ミドル・アップダウン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、都道府県財政課(予算編成)の機能について①組織内意思決定、②人材育成、③組織内調整の3つの観点から仮説を構築し、実証研究を行うことである。初年度(2019年度)は、①、③について文献研究を進めた。 ①について、予算編成過程は組織における限定合理的な意思決定過程であるという観点から、意思決定に関する先行研究を検討した。その結果、従来(マニフェスト登場以前)における財政課が政策形成機能は、①組織のトップと政策執行現場の政策に関する状況定義の共有、および②有権者と首長の白紙委任関係という二つの条件に支えられていたとの仮説を得た。この二つの条件の下で、行われる財政課主導の政策形成はミドル・アップダウンという高度成長期の日本企業の特徴と共通点を持つ。この点について「地方行政実務研究第1号」(地方行政実務学会)に「政策形成の類型から見た財政課機能の考察―「状況定義」概念をてがかりに―」としてまとめ、発表した。 ③については、①の観点のマクロの政治行政環境について考察を行った。地方自治におけるマニフェストの導入は、地方政治における本人・代理人関係が白紙委任から政策実現の委任へと変化したことの帰結であり、そのなかでミドル・アップダウンはトップダウンに変化し、財政課の機能は大きく制限されることになった。この点について東京大学社会科学研究所研究シリーズNo.70『自治体計画の特質および地方分権改革以降の変化と現状』に「自治体総合計画とマニへスト―マニフェストから政策集への変化を考える―」(第1章)としてまとめ、発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
文献研究に基づく仮説の構築は順調に進んだが、新型コロナの蔓延により、年度後半から予定していた自治体関係者のインタビューを行うことがで不可能になり、アンケートの設計が遅れている。アンケートの送付の時期およびその後のフォローアップ・インタビューも予定を立てることが難しい状況となっている。 また、アンケートの分析を踏まえ、2020年度中に予定していたアメリカ合衆国におけるアンケート調査、インタビュー調査はほぼ実施不可能な状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナが収束し、訪問することが可能になった都道府県から徐々に聞き取りをはじめ、アンケート項目を完成させることを年内の目標とする。 年明けからは、アンケート調査の実施および分析をはじめ、順次フォローアップのインタビューに移る予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症の発生により、当初予定していた自治体訪問ができなかったため。今後、今年度訪問できなかった自治体について、新型コロナの状況を見ながら出来る限り訪問したい。
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Research Products
(3 results)