2021 Fiscal Year Research-status Report
A Study on the Secretariat Organization in Japanese Municipalities - the Picture and Function of Finance Section in Japanese Prefectural Governments =
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19K01460
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Research Institution | Kyoto Tachibana University |
Principal Investigator |
竹内 直人 京都橘大学, 経済学部, 教授 (60803939)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 望 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 教授 (70404952)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 管理的政策 / 標準作業手続き / マニフェスト / 総合計画 / 地方創生戦略 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在の進捗状況の欄に記載したように、新型コロナによる実施調査等の遅れを補完するため、今年度は文献調査とともに比較的研究の蓄積がある企画部門の研究を集中的に行った。これにより財政部門の機能変化をより具体的に把握することに努めた。 具体的には、政策形成と決定に関する先行研究の整理及び自治体総合計画と財政計画の関係について研究を行った。 これらの成果について、まず、政策形成に関しては昨年9月に出版した『テキストブック地方自治〔第3版〕』の第6章「政策形成と決定」にまとめた。財政部門が政策形成において権限をもつのは、「標準作業手続き」が比較的大きな役割を担う「管理的政策」(曖昧さや政治的対立の小さな政策)の分野においてである。地方分権の結果、曖昧さの大きな政策や政治的に対立のある政策が増えると首長の機能が大きくなる。マニフェストや総合計画の重要性が増し、企画部門の役割が大きくなる。財政部門の機能は変化、縮小する。 次に、自治体総合計画については、編者として自治体総合計画に関する論文集(表題未定)をまとめており、現在出版に向けた最終段階の調整を行っている(秋に出版予定)。マニフェストや総合計画の役割が大きくなる中で、財政部門の役割は個別の査定(政策管理)から全体としての財源管理にシフトする。 財政部門に関する直接の研究からは若干離れたが、マニフェストや総合計画及びその担当部門である企画部門と財政計画や予算査定を担当する財政部門の関係に関する理解が進んだ。このような研究を踏まえ、今年度は官房組織における企画と財政の関係の下で財政部門の役割とその変化を明らかにしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
遅れの原因は2つある。まず、断続的に続く新型コロナの発生により、当初地域を区切って全国的に広く実施する予定であった自治体(財政部門)への対面の聞き取り調査が実施できていない(2021年度2県のみ実施)ことである。これに対しては、ズーム等による聞き取りも試みたが十分な情報を得ることは難しかった。 次に、財政部門の情報不足を補完するため、比較的蓄積がある企画部門(総合計画等の研究)の参照を行ったことである。 以上の理由(主な理由は第1点)により、対面調査に基づき作成する予定であったアンケート調査表が予定通りできておらず、アンケート内容が確定しがたい状況が続いている。 このような状況を踏まえて、過去の類似のアンケートに関する文献調査に重点を移すとともに、財政部門だけではなく企画部門の機能変化に関する研究に範囲を広げて、改めてアンケート内容を検討している。 2022年度においては、文献調査を続けアンケートを作成したうえで、確認のための実施調査をできる限り実施したうえでアンケート調査を行う予定である。その後、早急に内容をまとめたい。
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Strategy for Future Research Activity |
地方分権の推進の結果、首長及び自治体の政治的・行政的な独立性が強くなった。このようななかでミクロの政策形成における財政部門の役割は相対的に小さくなってきた。財政部門は、各政策部門(原課)の専門性の充実と首長の政治的な自立の両面から挟み撃ちにあった状況であり、その機能は個々の政策の査定から全体としての財源調整に移っていく。 一方、自治体の自律化に対しては、国は融合関係の維持の観点から影響力確保のための巻き返しに出る。自治制度に対する行政制度の巻き返しである。地方創生戦略などによる国からの介入と移転財源が増大するなかで財政部門がどのような役割を果たすかは重要な問いになる。新型コロナ対策財源に対して財政部門の対応にも関連する問いである。 財政部門のミクロの機能変化に注目するが、その背後には政治的政策の増加という政策の変化と国からの財源移転の増加という変化がある。この点に着目して財政部門の機能を考える。 地方創生戦略が総合計画と類似の役割を担うなかで、財政部門が自治体政策のアジェンダ設定にどのような役割を担っていくかも併せて注目していく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの蔓延状況により、予定していた自治体財政部門への聞き取り調査が実施できなかったため。
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Research Products
(1 results)