2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K01463
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
石川 涼子 立命館大学, 国際教育推進機構, 准教授 (20409717)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 文化的権利 / 文化的多数派の権利 / ナショナリズム / 多文化主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、2つの国際学会で研究発表を行った。4月にはドイツ・ベルリンのWZB Berlin Social Science Centerにて開催された文化的多数派の権利の考察をテーマにしたカンファレンスにて、"A majority right to limit English? Liberal and democratic justifications for majority language rights in Japan" を報告した。この報告では、しばしば文化的少数派の権利として論じられる文化的権利について、多数派も少数派と同様に文化的権利を主張することができるのかを、日本における「英語化」をめぐる論争を事例に考察した。また、9月には、イギリス・マンチェスター大学で行われたMANCEPT workshops 2019で、"Cultural rights of the majority"と題した報告を行った。この報告では4月に行った報告を改訂し、ウィル・キムリッカが『多文化時代の市民権』(1995=1998)で示したリベラリズムの理念に適う文化的権利の理論に焦点を絞って考察し、文化的多数派が文化の権利を主張する正当性はありうることを述べるとともに、その正当性が限定的であることも示した。この他に、イギリス・ブリストル大学で11月に開催されたカンファレンスMulticulturalism, Nationalism, Religions and Secularismに一般参加し、多文化主義をめぐる研究の最新の知見を得ると共に、イギリス内外の研究者とのネットワークを広げることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度中に国際的な学術誌に論文を投稿する予定だったが、遅れている。現在投稿の準備を進めており、2020年度に投稿する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年7月にポルトガル・リスボンで開催が予定されていたInternational Political Science Association World Congress 2020での研究発表に採択されていたが、新型肺炎の影響により、学会の開催が2021年7月に延期された。一年後の参加を見据えて発表内容の準備を進める予定である。また、新型肺炎の影響により、勤務校の業務・教育体制がオンライン化されたことによる業務の増加、同時に子供の学校が休校となり、学童等の預かりも利用できなくなったことから、研究時間の確保に苦労している。とりわけ後者については有効な対策を見い出せていない。
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Causes of Carryover |
2019年度は学外研究の機会を得てイギリス・オックスフォード大学に滞在していた。オックスフォード大学の図書館が非常に充実していたため、雑誌・書籍ともに購入することなく研究を進めることができた。また、ヨーロッパ圏内での出張についても、当初の予定よりも費用がかからずに済んだ。また、当初計上していたPCについては2020年度中に購入予定である。
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