2021 Fiscal Year Research-status Report
Kingship and Monarchism in the Stuart Britain
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19K01473
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
木村 俊道 九州大学, 法学研究院, 教授 (80305408)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 君主 / 王権 / 君主教育 / ジェイムズ6世・1世 / チャールズ1世 / ヘンリ・ステュアート / アート / 統治 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、これまで続けてきた17世紀ブリテンにおける王権と君主政の研究をふまえ、とくにジェイムズ6世・1世の息子であるヘンリとチャールズ(のちの1世)、さらにはジェイムズの孫にあたる、のちのチャールズ2世を含めた「プリンス」たちをめぐる君主論や統治論の展開を考察の対象とした。 皇太子ヘンリに関しては、研究会において「王権と君主の「ルネサンス」―ヘンリ・ステュアートと統治のアート」と題した報告(2021年6月19日、政治研究会・九州大学)を行い、昨年度から研究を続けていた「失われたプリンス」をめぐる君主教育論や、統治の「アート」の諸相を明らかにした。また、同タイトルの論説を紀要に掲載し(『法政研究』第88巻第2号、2021年10月、査読有)、その成果を公開した。なお、統治のアートに関しては、関連する報告を政治思想学会(「政治思想の「振舞い」―統治のアートとシヴィリティをめぐって」2021年5月22日)で行っている。 本年度はまた、夭折した兄に代わって皇太子となったチャールズに焦点を移し、Aysha Pollnitzによる君主教育研究や、Kevin SharpeやRichard Custをはじめとするチャールズ研究、Malcolm Smutsなどによる同時代の宮廷文化研究といった先行研究の調査を行った。また、一次資料に関しては、ジェイムズがチャールズに宛てたA Meditation(1619)や、チャールズの処刑後に出版されたEikon Basilike、そして後期ステュアート朝に至るなかで版を重ねたフィルマーの『パトリアーカ』やローリの作とされる『君主論』(『国家のマキシム』)などの重要性が明らかとなった。 このような、ヘンリからチャールズ1世、さらにはチャールズ2世による王政復古へと至る王権と君主の「再生」の過程をさらに追うことが次年度の課題となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度と同様に、当初予定していた国内外での文献調査や資料収集がコロナ禍によって実施できなくなるなど、充分な研究環境が整わなかったことに加え、とくにチャールズ期に関して政治史や文学史、文化史など関連分野の研究を新たに参照することが必要になったため、作業に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍の終息をまって国内外での文献調査や資料取集を再開するとともに、とくにチャールズ1世をめぐる君主論や統治論の諸相を明らかにする。また、王党派やホッブズ、あるいはクラレンドンらの政治思想も視野に入れつつ、内乱から王政復古、後期ステュアート朝へと至るモナーキズムの展開を示す。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により当初予定した国内外での資料調査・収集が実施できなかったため次年度使用額が生じた。次年度は、コロナ禍の状況の推移を見つつ、資料収集や研究交流などの旅費か、もしくは関連図書の購入などの物品費に含めて使用する。
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Research Products
(3 results)