2022 Fiscal Year Research-status Report
世界秩序構想としての「翻訳」の意義に関する政治社会学的研究
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19K01475
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
施 光恒 九州大学, 比較社会文化研究院, 教授 (70372753)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴山 桂太 京都大学, 人間・環境学研究科, 准教授 (30335161)
佐藤 慶治 精華女子短期大学, その他部局等, 講師 (10811565)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ナショナリズム / ポスト・グローバリズム / ポパー / 批判的合理主義 / 新自由主義批判 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は、コロナ感染症の影響が残ったこともあり、総括的シンポジウムの開催を見送った。しかし、いくつかの論考を書くことができた。また個別の学会などでは成果報告を行うこともできた。 例えば、5月に政治思想学会第29回研究大会(於・明治大学)において施が「ポスト・グローバリズムの世界秩序の探求――カール・ポパーのナショナリズム論に対する批判的検討を手がかりとして」という題目で報告した。また、この報告での質疑応答の結果などを加筆し、『政治研究』第70号に査読付きの論文として発表した。ポパーの批判的合理主義の観点から、批判的吟味の最適な場とは、実はネイションを軸とする世界秩序ではないだろうかということについて検討した論文である。「翻訳」を通じた多くの普通の人々の批判的吟味への参加とその意義、およびそこからネイションの自決の理念が導き出しうること、などについて論じた。 また施は、9月には「日本の文化的特徴から導き出される人権論の構想――『日本型リベラリズム』に向けての序論的考察」という報告を、比較文明学会九州支部(於・西南学院大学)で行った。欧米で定式化された人権規範が日本の文化的文脈でどのように「翻訳」されてきたかについて、また「日本型」のリベラリズムの構想について、様々な分野の研究者が集うなかで発表し、意見を伺った。 柴山は、さまざまな媒体において、ウクライナ戦争などの現在の世界情勢を踏まえたうえで、新自由主義グローバリズムのもたらした諸問題の分析や検討を行った。また、研究の次の段階であるポストグローバリズムの世界のなかでの新しい「日本型」秩序の検討のための手掛かりとしてのいくつかの論考を発表した。 研究期間の令和5年度までのさらなる延長が幸いにも認められたため、令和5年度に本研究全体のまとめとしてシンポジウムや著作の発表を行い、成果の検討および社会的還元に努めたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナの影響が残ったこともあり、予定していたシンポジウムなどを行うことができなかった。研究期間の次年度(令和5年度)への延長が認められたため、令和5年度に十分な準備のうえ実施したい。
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Strategy for Future Research Activity |
研究成果のまとめ、および点検としてのシンポジウムの開催、および共著の本の発表を行いたい。
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Causes of Carryover |
コロナウィルス感染症の影響が残ったため、予定していたまとめのシンポジウムの開催を次年度に見送ったため。
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Research Products
(9 results)